2005 Fiscal Year Annual Research Report
受精前後における遺伝子発現リプログラミングの調節機構について
Project/Area Number |
17380166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
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Keywords | 発生 / 卵 / リプログラミング / 受精 / 減数分裂 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
(1)初期胚でリアルタイムに発現している遺伝子の制御領域の解析 マウス胚は受精後の1細胞期中期より遺伝子発現を開始するが、この時リアルタイムに発現している遺伝子のプロファイルを作成するには、胚中に大量に蓄積された母性mRNAから、新しく合成されたmRNA(新生mRNA)を単離することが必要である。そこで、胚にブロモ標識したUTP(BrUTP)を注入し、抗BrU抗体で沈降させることによってBrUを取り込んだ新生mRNAを単離するという手法を用いた。そして、単離されたmRNAについて、マイクロアレイで解析した結果、これまでに1細胞期胚で発現しているという報告のなかった50以上の遺伝子の発現が確認された。これらの遺伝子の制御領域を解析した結果、PaxおよびEts familyに属する転写因子が結合する配列を持つものが多数存在した。 (2)転写制御機構の解析-転写因子の解析 卵、および初期胚における転写制御機構の解明のため、これらの細胞において実際に発現している転写因子のプロファイルを得ることを試みた。すなわち、1500の転写因子(候補を含む)を載せたマイクロアレイ(バイオメトリックス社)を用いて、成長期卵、1細胞期、2細胞期、胚盤胞期胚における蓄積mRNAを解析した。その結果、転写因子の発現パターンは1細胞期から2細胞期にかけて最も大きく変化していた。さらに成長卵から2細胞期胚にかけてTATA-lessのプロモーターを活性化するEts familyに属する転写因子群の発現増加が顕著に見られた。この結果を、上記(1)の結果に照らし合わせると、受精を境にEts famllyによるTATA-lessプロモーターの活性化が起こり、これが遺伝子発現のリプログラミングに関わっていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)