2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
中山 裕之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
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Keywords | 犬 / リンパ腫 / 化学療法 / 分子病態 / 予後 / P-糖タンパク / p53遺伝子 / 微小残存病変 |
Research Abstract |
分子病態解析にもとづいた治療方針を立てることにより、動物のリンパ腫治療の治療成績を格段に向上させることを目的として以下の研究を行った。 (1)リンパ系腫瘍におけるP-糖タンパク(P-gp)の解析:犬のリンパ腫症例(50例)から採取した腫瘍細胞におけるP-gpの機能をローダミンの取り込みおよびそのシクロスポリンによる阻害によって検討した。その結果、高いローダミン排出指数によって示されるP-gp発現腫瘍群(21例)ではP-gp非発現腫瘍群(29例)よりも化学療法反応性が低下していた。このことはローダミン排出試験が抗癌剤に対する反応性を予測するために臨床的に有用であることを示すものである。 (2)リンパ系腫瘍におけるp53遺伝子の解析:犬のリンパ腫症例(50例)から採取した腫瘍細胞におけるp53遺伝子の変異をPCR-SSCP法によってスクリーニングし、異常バンドが認められたサンプルでは塩基配列解析を併せて行った。その結果、13例においてp53遺伝子の点突然変異が見出された。今後、p53遺伝子の変異を有するリンパ腫症例とその変異のないリンパ腫症例の2群間において、その抗癌剤感受性および予後を比較検討する予定である。 (3)リンパ系腫瘍における微小残存病変(MRD)の定量:犬のリンパ腫症例(38例)から採取した腫瘍細胞における免疫グロブリン遺伝子の再構成をPCRによって検出し、その塩基配列データに基づいて個体特異的なプライマーを作製した。さらに、これらプライマーを用いたリアルタイムPCRを行ったところ、その約80%の症例において末梢血液中のMRDを測定することが可能となった。これまでのところ、血中MRDレベルによって示される腫瘍細胞動態がそれぞれの症例の寛解・再発と関連することが示されており、今後はその予後との相関を検討する予定である。
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Research Products
(4 results)