2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17380186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 耕一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
中山 裕之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (40155891)
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Keywords | 犬 / リンパ腫 / 薬剤耐性 / mdr1 / p53 / 微小残存病変 / MRD / 予後 |
Research Abstract |
分子病態解析にもとづいた治療方針を立てることにより、動物のリンパ腫治療の治療成績を格段に向上させることを目的として以下の研究を行った。 (1)リンパ系腫瘍にわけるP-糖タンパク(P-gp)の解析:犬のリンパ腫症例70例に関して、その腫瘍細胞のP-gp機能とP-gpの基質薬剤であるビンクリスチンに対する反応性を検討した。その結果、ビンクリスチン耐性群におけるローダミン排出指数はビンクリスチン感受性群におけるものよりも有意に高いことが示された。 (2)リンパ系腫瘍におけるP53の解析:犬のリンパ腫症例53例に関してその腫瘍細胞におけるp53遺伝子の変異を解析した。その結果、15例においてアミノ酸残基置換を引き起こすp53遺伝子の点突然変異が検出された。p53遺伝子変異を有する群と変異が認められない群の2群間において、生存期間および寛解期間をKaplan-Meier curveによって比較したところ、p53遺伝子変異を有する群の方が有意に予後が悪いことが示された。 (3)リンパ系腫瘍における微小残存病変(MRD)の定量:犬のリンパ腫症例41例から採取した腫瘍細胞における免疫グロブリン遺伝子の再構成をPCRによって検出し、その塩基配列データに基づいて個体特異的なプライマーを作製した。さらに、これらプライマーを用いたリアルタイムPCRを行い、血中MRDレベルを測定することが可能となった。その結果、25週間の化学療法終了時における血中MRDレベルはその後の再発までの期間と負の相関を示すことが明らかとなった。また、血中MRDレベルは一部症例において臨床的な再発前に上昇することが示された。 本研究において得られた成果は、犬のリンパ腫診療における治療方針の決定や予後の予測に関して客観的な分子病態パラメーターを提供するものであり、今後、臨床的に広く応用されていくものと考えられる。
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Research Products
(4 results)