2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるカドミウムの吸収・輸送動態に関するポジトロンイメージングを用いた研究
Project/Area Number |
17380194
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20354962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助手 (00322339)
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Keywords | カドミウム / ポジトロン / 放射性 / イメージング / 吸収 / イネ / ファイトレメディエーション |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、土壌および食糧の汚染が社会問題となっているカドミウムについて、カドミウムの経根吸収および植物体中の輸送の動態をポジトロン放出カドミウム核種を用いたリアルタイムイメージングによって明らかにすることである。それに対し、17年度の成果としては、植物体内におけるカドミウム輸送の挙動を、ポジトロンイメージングによって動画像として可視化することに世界で初めて成功したことが挙げられる。この成果は平成18年3月に記者発表を行い、3月22日現在までに6紙に掲載されている。 具体的な成果は以下の通りである。 1.カドミウム吸収・輸送動態のポジトロンイメージングによる撮像 ポジトロン放出トレーサである^<107>Cdの精製方法を確立した。また、水耕液の維持装置の開発も行い、これによりイメージング時間の制限が(原理的に)無くなった。これまでに最長で36時間のイメージングに成功している。 供試植物として、イネ、アブラナ、ソルガムなどを用い、これらの植物体内のカドミウム移行の様子を動画像として得た。例えば播種後4週のイネにおいては、吸収開始後わずか1時間程度でカドミウムが茎(葉鞘基部)に到達し、その後も茎に蓄積していくことなどが明らかになった。 2.ポジトロンイメージングデータの数理的解析 動画像データから、根、節、葉鞘などの各器官におけるトレーサ量の経時変化曲線(time-activity curve)を抽出した。一方、イメージングと同時並行して、植物による吸水量とトレーサ吸収量をモニタリングするシステムを開発した。これにより、time-activity curveと吸水曲線、トレーサ吸収曲線を合わせて解析することが可能になった。その結果、水耕液から茎(葉鞘基部)に到達するカドミウム量の割合を定量的に求めることなどに成功した。
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