2005 Fiscal Year Annual Research Report
コールドスプレー質量分析(CSI-MS)法による生体分子の組織的溶液動態の観測
Project/Area Number |
17390008
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50159208)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壇上 博史 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教授 (70332567)
関 宏子 千葉大学, 分析センター, 助教授 (60114245)
清 悦久 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (40389177)
小林 稔 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (50389178)
|
Keywords | コールドスプレー / 質量分析 / DNA / 水素結合複合体 / 分子会合 |
Research Abstract |
本研究課題において中心的役割を果たすコールドスプレー質量分析装置の改良に関し,いくつかの有用な知見を得た.スプレー角度について精査した結果,直行スプレー方式の利点が示されたが,スプレー角を直角より小さく設定しても良好な結果を与えた.さらにスプレー冷却方式にも改良を加え,スプレー直近に液体窒素による小型熱交換器を設置することにより冷却効率を改善し,より低い温度で精密測定ができることを見出した. 速度論的考察および結合定数の測定に関しては,DNAと低分子リガンドとの複合体観測を行ない,これに基づく諸実験結果より,ある程度の結論を得た.即ちDNAとカテキン複合体をコードスプレー質量分析により明確に捉えることができ,さらにサーフェースプラズモン解析により結合定数の概略を知ることができた.コールドスプレー質量分析によるイオンピーク強度の温度依存性に関する精密測定を行ない,既に求めた結合定数の概略と比較する予定である. 次に,本解析系による具体的溶液動態に関する取組みであるが,水素結合に基づく複合体形成を例に検討した.複成分系での分子間相互作用について精査すべく有機酸-塩基による水素結合を利用した複合体の結晶構造,溶液構造について考察することを目的として実施された.対象化合物として強い塩基性を示すグアニジンおよび代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸を選択した.グアニジンの合成および安息香酸との合成複合化より開始し,各複合体の単結晶X線構造解析,CSI-MS,そしてPFG NMRによる拡散係数の測定を順次行った.この結果化学量論的混合比調節により水素結合に基づく「意図した結晶」を自在に作り分けることを可能とし,自己組織化のモデル構築に成功した.更に溶液構造を精密に解析し,この系での自己組織化の初期過程を観測することができた.結晶構造より得た定量的分子間相互作用の一部または全体が,溶液中においてもなお保持されていることが,我々の開発したコールドスプレー質量分析法(CSI-MS)より明らかとなった.さらにこの事実はNMRにより拡散係数を比較することからも支持された. これら一連の実験の結果,ターゲット分子であるグアニジンと安息香酸が正確に化学量論比に対応した会合体を形成することを溶液中で観測し,これより溶液動態の精密な解析を行うことができるようになった.
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] Observation of Water Molecules Bound to a Protein Using Cold-Spray Ionization Mass Spectrometry2005
Author(s)
Sei, Y., Shimotakahara, S., Ishii, J., Shindo, H., Seki, H., Yamaguchi, K., Tashiro, M.
-
Journal Title
Anal.Sci. 21
Pages: 449-451
-
[Journal Article] Intermolecular Hydrogen Bonding of Steroid Compounds : PFG NMR Diffusion Study, Cold-Spray Ionization(CSI)-MS and X-ray Analysis2005
Author(s)
Shikii, K., Seki, H., Sakamoto, S., Sei, Y., Utsumi, H., Yamaguchi, K.
-
Journal Title
Chem.Pharm.Bull. 53
Pages: 792-795
-