2006 Fiscal Year Annual Research Report
コールドスプレー質量分析(CSI-MS)法による生体分子の組織的溶液動態の観測
Project/Area Number |
17390008
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50159208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀上 博史 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教授 (70332567)
関 宏子 千葉大学, 分析センター, 助教授 (60114245)
清 悦久 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (40389177)
小林 稔 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (50389178)
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Keywords | CSI-MS / 分子化合物 / クリスタルエンジニアリング / 安息香酸 / ビスグアニジン類 / 分子拡散 / 単結晶X解析 / NMR解析 |
Research Abstract |
NMRによる分子拡散の測定法を用いた会合状態の解析およびX線解析の結果とCSI-MS結果を比較した. 本年度は特に,昨年度より継続している複成分系での分子間相互作用について精査すべく有機酸一塩基による水素結合を利用した複合体の結晶構造および溶液構造について考察することを目的として実験を行なった.対象化合物として強い塩基性を示すグアニジンおよび代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸を選択し複合体形成を行った.まず強い塩基性を示すグアニジン(BG)の合成を行い,代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸(BA)との複合体の形成および単結晶X線回折測定を行った.この際,複合体は3Aのモル比をコントロールすることで定量的かつ選択的にBG+BA=1:1,1:2,1:3,1:4と作り分けられることが明らかになり,このことはCrystal Controlの観点から非常に有用な知見である.次に,各BG+B complexesについてCSI-MSを測定した.[BA-H]^-の付加体としてネガティブモードで1:1からは1:1,1:2からは1:2およびイオン化により開裂した1:1,1=3からは1:3およびイオン化により開裂した1:2と1:1そして1:4からは1:4およびイオン化により開裂した,1:3,1:2,1:1がそれぞれ観測された.このことからCSI-MSは酸塩基による水素結合化合物の質量分析の検出に非常に有用であり,また,各complexが結晶状態を反映して溶液中でもそのcomplexを保持したまま存在していることが示唆された.最後にNMR解析を行った.この結果,1:1,1:2,1:3,1:4のBGの^1Hの化学シフトが異なっていることが分かり,ある構造的変化を反映した変動を捉えることができた.これについては,一つ目のBAが共存するとBGは劇的に変化するが,2つ以上のBAではそれほど大きな構造的変化はないと考えることができる.さらに,化学シフトの変化のグラフと自己拡散係数の変化のグラフは一致しており,溶液中でも複合体を保持していることが示唆された.
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