2007 Fiscal Year Annual Research Report
コールドスプレー質量分析(CSI-MS)法による生体分子の組織的溶液動態の観測
Project/Area Number |
17390008
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 教授 (50159208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀上 博史 徳島文理大学, 香川薬学部, 准教授 (70332567)
関 宏子 千葉大学, 分析センター, 准教授 (60114245)
清 悦久 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教 (40389177)
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Keywords | CSI-MS / 反応解析デバイス / スルホンアミド / 連続送液システム / 反応メカニズム / スプレーイオン化 / 質量分析 / Morita-Baylis-Hillman反応 |
Research Abstract |
溶液中の分子会合状態の変化を直接観測することは一般に困難とされている。本年度はCSIを中心としたスプレーイオン化法を用いて,新規反応解析手法を開発した。 この開発研究では溶液中の不安定性分を継続的に検出する目的から,反応溶液の直接観測を試みた。進行している反応溶液を連続的に観測するために,ON-LINE質量分析装置(Reaction Tracking System:RTS)を開発し,実際の反応溶液を観測した。本手法の有機反応における評価としてメシチレンスルポニルクロリドとメチルアニリンからスルホンアミドを生成する反応について検討した。この反応は,触媒であるピリジンを加えることによりほぼ定量的に生成物を与えるものである。RTSを用いて溶液中を観測すると,わずかに含まれる水分子と生成物の結合など様々な相互作用が存在することが明らかとなった。また他の例として,Morita-Baylis-Hillman反応等の観測を行った結果,反応中間体を捉えることができ,本測定法が反応メカニズムの検討に役立ち,有機反応の研究に大きく貢献できることが示された。 RTSはMSと反応容器を連結し,イオン源を減圧することにより試料溶液の送液を可能とした画期的なシステムであることが証明された。RTSはMSの条件検討,分子間相互作用の観測を目的としたハイスループットスクリーニング,反応条件の検討,反応終了時間の確認,反応生成物、副生成物の確認,さらには反応メカニズムの証明等,様々な研究に応用され,またCSIを用いることにより不安定な反応中間体の補足も可能であると考えられる。これにより有機合成をはじめとする多くの研究の発展に寄与することに期待する。
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