2007 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症治療に向けた自然免疫系のTLR受容体のタンパク質のX線構造解析
Project/Area Number |
17390010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 能雅 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30150014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 修治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60237823)
藤間 祥子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40363535)
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Keywords | 自然免疫 / Toll-Like-Recetor / MD-2 / 敗血症 / エンドトキシン / リポ多糖 / X線結晶構造析 / 構造生物学 |
Research Abstract |
自然免疫系のMD-2タンパク質は細菌のリポ多糖(LPS)を認識し,細胞表面の受容体のToLL-LikeReceptor4(TLR4)に認識情報を伝達する共受容体である。細菌感染による重篤な敗血症ショックは,このLPSへの過度の応答により惹起される。研究では,これらタンパク質によるLPS応答の構造的な要因をX線結晶構造解析により明らかにするため,MD-2の性状解析,結晶化とX線解析などを行った。 ヒトMD-2については,得られた結晶は双晶または混晶の兆候を示した。しかし,試料調製を工夫することにより単結晶を得て,X線回折データを測定した。その結果,MD-2単体およびリピッドIVaとMD-2の複合体の結晶について,高分解能での三次元構造の解析に成功した。リピッドIVaは,エンドトキシンであるLPSの骨格部を成すリピッドAの前駆体であり,ヒトではアンタゴニスト,マウスではアゴニストとして働く。リピッドIVa複合体の三次元構造から,エンドトキシンの認識に関する詳細な構造知見を得た。これら知見は,LPS応答を遮断する敗血症治療薬の開発に有効な構造知見をもたらすものである。 エンドトキシンのアゴニストは,MD-2とTLR4の受容体系を活性化することから,ヒトTLR4の細胞外ドメインの大量発現系の構築に向けて,昆虫細胞由来の宿主などを用いて研究を進めた。また,リピッドAなどのアンタゴニストは受容体の構造またはその会合状態を変化させることが想定されたことから,MD-2と各種アンタゴニストとの共結晶化と,それら結晶のX線回折法による評価も行った。
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Research Products
(8 results)