2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面糖鎖を指標とする進化論的ならびに分化論的細胞分類
Project/Area Number |
17390012
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
掛樋 一晃 Kinki University, 薬学部, 教授 (30101405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 充弘 近畿大学, 薬学部, 助教 (40330279)
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Keywords | グライコーム / N結合型糖鎖 / 遊離糖鎖 / 胃癌細胞 |
Research Abstract |
本研究課題の平成17年度〜18年度において、N-結含型糖鎖を網羅的に分離し、細脚表面の発現糖鎖プロファイリングを行う方法を用いて、細胞表面のN結合型糖鎖の比較解析を進めた。その過程で、ヒト胃癌細胞に、N結合型糖鎖由来の遊離型糖鎖が大量に蓄積していることを発見した。特に、日本人由来の低分化型胃癌細胞MKN45および高分化型胃癌細胞MKN7では複合型のN結合型糖鎖由来と考えられる遊離糖鎖が大量に観察された。平成19年度ででは、両細胞中に観察された遊離糖鎖を詳細に解析し、MKN45中に特徴的かつ人量に観察されたNeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3Manβ1-4GlcNAcの配列を持つ遊離糖鎖の細胞内局在とその生成メカニズムを明らかにした。遊離糖鎖の細胞内局在については、リソソームと細胞質のいずれにも遊離糖鎖が観察されたが、通常リソソームに局在する酵素活性が細胞質においても検出されたことから、リソソーム内に蓄積した遊離糖鎖が何らかの原因で細胞質へと漏れ出していると考えられた。また、遊離糖鎖蓄積の原因の一つと考えられる細胞質ならびにリソソームシアリダーゼ(Neu1およびNeu2)をMKN45に強制発現したところ、いずれのシアリダーゼ導入によっても、細胞質ならびにリソソーム中の遊離糖鎖量は劇的に減少した。以上の事実から、MKN45における遊離糖鎖の蓄積は、シアリダーゼの欠損あるいは機能低下により非還元末端側からの糖鎖の分解が停止することが原因であることがわかった。ゴーシェ病など糖鎖分解不全による糖鎖の蓄積を原因とする疾患が幾つか知られているが、観察された遊離糖鎖の蓄積と胃癌の分化あるいほ悪性度との関係について明からにできれば、遊離糖鎖あるいはシアリダーゼを標的とした胃癌の診断法・治療法の開発にも応用が期待できる。
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Research Products
(9 results)