2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル膜蛋白再構成系とケミカルジェネティクスを用いた膜内切断機構の解明
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17390015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 泰輔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (30292957)
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Keywords | アルツハイマー / セレクターゼ / アミロイド / 分子生物学 / RNA干渉法 / ウイルス発現系 / 細胞内輸送 / 単粒子解析法 |
Research Abstract |
γセクレターゼはAPPの膜内配列を切断し、アルツハイマー病発症に深く関連するβアミロイド蛋白の最終段階を担う酵素である。その分子的本態として、家族性アルツハイマー病原因遺伝子の一つであるPresenilinを活性中心とした、Nicastrin(Nct)、Aph-1、Pen-2によって構成される高分子量膜蛋白複合体であることが明らかとなっている。ショウジョウバエS2細胞を用いてRNAiを用いたノックダウン及び変異型分子を用いたレスキュー実験により、Aph-1がγセクレターゼの安定性を制御すると同時にそのトラフィッキングにかかわっていることを見出した。また哺乳類細胞の分画実験を行い、γセクレターゼが特にラフトと呼ばれるマイクロドメインに存在することを見出した。さらにPresenilinの膜貫通領域がその複合体形成および活性に及ぼす影響についてシステマチックに検討し、Presenilinの第4膜貫通領域とPen-2が特異的に結合すること、このPen-2との結合もまた、γセクレターゼのGolgi体へ輸送・酵素活性に必要であることを見出した。これらの結果は、γセクレターゼのアセンブリーに伴う細胞内輸送がその活性発揮に重要な役割を果たしていることを示唆するものと考えられる。さらにバキュロウイルス・Sf9感染系を用いたγセクレターゼ大量発現系を応用し、活性を保持するγセクレターゼを大量精製した。ネガティブ染色を行い、電子顕微鏡による観察とニューラルネットワークを応用した単粒子解析法によってγセクレターゼの三次元構造を再構築した。これはγセクレターゼの構造に関する世界で初めての報告であり、今後この構造情報と、様々な分子・化合物の活性に及ぼす影響を多角的に検討することでその切断機構の解明が期待される。
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Research Products
(4 results)