2007 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症モデル動物における認知機能と神経変性に関する脆弱因子の探索
Project/Area Number |
17390018
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
鍋島 俊隆 Meijo University, 薬学部, 教授 (70076751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 幸裕 名城大学, 薬学部, 教授 (90397464)
新田 淳美 名古屋大学, 医学部付属病院, 准教授 (20275093)
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Keywords | Disrupted-in-schizophrenia 1 / 神経発達障害 / 認知障害 / フェンシクリジン / プロテオーム解析 / 前頭前皮質 |
Research Abstract |
Disrupted-in-schizophrenia 1(DISC1)は統合失調症関連遺伝子であり、神経発達期の大脳皮質において細胞移動および神経突起の伸長などの重要な役割を担っている。そこで、子宮内エレクトロポレーション法によりDISC1の発現を抑制するsiRNAを胎児期の脳内に遺伝子導入したマウス(KDマウス)を作製した。生後28日目のKDマウスでは顕著な変化は認められなかったが、生後56日目のKDマウスにおいて認知障害と前頭前皮質のドパミン基礎遊離量の減少が認められた。したがって、KDマウスでは神経発達過程において前頭前皮質におけるドパミン神経機能の低下が引き起こされ、これが成熟後の認知障害の発現に関与していることを見出した。また、KDマウスにおける認知障害は、非定型抗精神病薬は緩解作用を示すが、定型抗精神病薬は効果を示さなかったことから、本モデル動物は、新規抗精神病薬の効果の評価に用いることができるものと示唆された。一方、薬理学的統合失調症モデル動物であるフェンシクリジン(PCP)連続投与マウスの前頭前皮質におけるタンパク質発現変化を調べるため、fluorescence two-dimensional difference gel electrophoresis(2D-DIGE)法を用いてプロテオーム解析を行った。コントロール群に比べて、PCP連続投与マウスでは7個のスポットの発現が増加し、逆に2個のスポットの発現が減少していた。これら発現に変化が認められたスポットについて質量分析装置を用いてタンパク質の同定を行った結果、細胞シグナル(5スポット)、タンパク分解(1スポット)、エネルギー代謝(1スポット)に関与するタンパク質であることが同定された。したがって、PCP連続投与マウスに認められる統合失調症様症状の分子機序に前頭前皮質において変化が認められたタンパク質群が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(13 results)