2005 Fiscal Year Annual Research Report
多様な細胞機能の制御におけるMAPキナーゼ系の役割
Project/Area Number |
17390020
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 恵一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50252466)
谷村 進 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90343342)
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Keywords | ERK-MAPキナーゼ / c-Jun N-Terminal Kinase / 細胞内局在性 / 細胞運動 / GEF-H1 / RhoA / ケラチン8 / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
1.HGF刺激MDCK細胞から調製したmRNAを利用した発現クローニング法/ERK-MAPキナーゼの細胞内局在観察を組み合わせることで、ERK-MAPキナーゼの細胞内局在を制御する分子の同定を進めた結果、その有力候補としてN末端にSH3ドメイン、C末端に3つのankyrin repeatを有する分子量26,000の新規タンパク(p26)を見いだした。p26をMDCK細胞に過剰発現させるとHGF刺激に応答したERK-MAPキナーゼの核移行・保持が抑制される事、一方、siRNA法によってそれをノックダウンするとERK-MAPキナーゼの核移行・保持が亢進される事より、それがERK-MAPキナーゼの核移行・保持の制御に関わる分子である事を確認した。 2.ERK-MAPキナーゼの新規基質分子として同定したGEF-H1(RhoA特異的GDP/GTP交換因子)については、ERK-MAPキナーゼによるThr(678)のリン酸化によってそれが活性化される事を,Thr(678)をAla/Gluに置換したGEF-H1等を利用したGST-RBD pull-down assayによって確認した。また、siRNA法によってGEF-H1をノックダウンすると、細胞運動性が亢進する事を見いだした。これらの結果は、ERK-MAPキナーゼがGEF-H1の機能制御、それに引き続くアクチン系の機能変動を介して、細胞運動制御に深く関与している事を示している。 3.c-Jun N-Terminal Kinase(JNK)が細胞質分裂過程で機能する可能性に関して、JNKがケラチン8のリン酸化を介して、中間径フィラメント構造の調節に関わっている事を見いだした。これに関しては、JNKの機能を阻害した細胞の中間径フィラメント構造を、ケラチン8に対する抗体を利用した免疫電顕法で観察する事によっても確認した。これらの結果は、JNKによるリン酸化によってケラチン8が重合体から単量体へと変化することで、中間径フィラメント構造の弛緩が誘導され、その結果として細胞質分裂が進行できる環境が整備される可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)