2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な細胞機能の制御におけるMAPキナーゼ系の役割
Project/Area Number |
17390020
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 恵一 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (50252466)
谷村 進 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90343342)
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Keywords | ERK-MAPキナーゼ / 細胞周期制御 / スピンドルチェックポイント / 細胞内局在 / p90^<RSK> / GEF-H1 / RhoA / 細胞運動 |
Research Abstract |
1.G2/M期制御におけるERK-MAPキナーゼ系の役割 T24細胞(ERK-MAPキナーゼ経路が恒常的に活性化されているがん細胞)において、チミジンブロック法を用いて細胞周期をG1期、S期、あるいはG2/M期に同調した条件下、MEK阻害剤と低濃度の微小管重合阻害剤を併用処理すると、G2/M期で薬剤処理した際に最も顕著な細胞死が誘導された。このような条件下ではcyclin B1、Plk1、およびAurora-Bの過剰蓄積が認められたが、一方、各薬剤単独処理では上記変動は認められなかった。これより、G2/M期において、ERK-MAPキナーゼ経路が上記各タンパクの発現誘導を介して、スピンドルチェックポイントの制御に関与している可能性が示された。これまでERK-MAPキナーゼ経路はG1期制御において本質的な役割を果たしている事が明らかにされているが、上記結果はそれがG2/M期進行の制御においても重要な役割を果たしている可能性を示唆する。 2.ERK-MAPキナーゼの細胞内局在制御に関与する分子として同定したp26の機能 昨年度に同定した新規タンパク、p26について、GST pull-down assay/質量分析法を利用して、それと特異的に結合するタンパクの解析を進めた。その結果、p26には分子量120,000のタンパク(p120)が結合することを見出した。また、p26はERK-MAPキナーゼの下流に位置するキナーゼ(p90^<RSK>)によってリン酸化される事、血清刺激等に応答してp26がリン酸化されるとp120/p26複合体が解離することを見いだした。これらの結果は、ERK-MAPキナーゼの細胞内局在がそれ自身によって制御される可能性を示唆する。 3.ERK-MAPキナーゼの新規基質タンパク、GEF-H1の機能 様々ながん細胞及びMEK阻害剤を利用した解析より、GEF-H1の発現がERK-MAPキナーゼによって正に制御される可能性が示唆された。また、ERK-MAPキナーゼによるGEF-H1のリン酸化(活性化)はRhoA活性化に連動するが、Rac1に対しては抑制的に機能する事を見いだした。これは、ERK-MAPキナーゼ、GEF-H1を介した細胞運動制御の分子機構解明に向けて、確かな方向を提示するものである。
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Research Products
(6 results)