2006 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム依存性プロテアーゼ・カルパインの神経細胞死における機能的役割の解明
Project/Area Number |
17390026
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
岩田 修永 独立行政法人理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 副チームリーダー (70246213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 二郎 独立行政法人理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 研究員 (60415213)
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Keywords | 神経細胞死 / プロテオミクス / カルパイン / カルシウム依存性プロテアーゼ / カルパスタチン / メタボリックラベリング / 二次元電気泳動 / タウ |
Research Abstract |
本年度は年次研究計画に従って実験を行い、メタボリックラベリングにより35S標識した野生型マウスおよびカルパスタチン遺伝子欠損マウス初代培養神経細胞をグルタミン酸で刺激後、タイムコースを追ってサンプリングし、4つの細胞画分に分画して電気泳動用のサンプルを調製した。二次元電気泳動後、オートラジオグラフィーを行い取得した画像を解析し、各スポットのシグナル強度を基にして野生型マウスおよびカルパスタチンノックアウトマウス間で有意な変化のあるものにつき分解速度(半減期)を求め、幾つかの基質候補蛋白質を得た。現在、マススペクトルの解析により、タンパク質の同定を進めている。一方、カルパスタチンノックアウトマウスとアルツハイマー病モデルマウス(アミロイド前駆体タンパク質トランスジェニックマウス;APP tg)を交配し、このin vivoモデルを用いて神経細胞死/神経病理とカルパイン-カルパスタチンシステムの解析を行った。その結果、この交配したマウスでは、APP tg単独に比較し、細胞外アミロイドの蓄積と共に細胞内タウの蓄積が促進することを見出した。また、細胞内で蓄積したタウは過剰なリン酸化を受けていることも確認した。このことから、カルパインの活性化によってp35蛋白質からp25蛋白質がプロセッシングを受けて産生し、引き続きサイクリン依存性プロテインキナーゼcdk5が活性化して、細胞内タウのリン酸化が亢進したことが考えられる。このように、細胞内プロテアーゼカルパインがアミロイド蓄積の刺激により活性化し、神経細胞死を引き出す可能性を示唆された。本研究で得られた結果を元に、今後も神経変性疾患における神経細胞死/神経病理に対する脳内カルパインーカルパスタチンシステムの機能的役割についてさらに解析を進める予定である。
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Research Products
(5 results)