2006 Fiscal Year Annual Research Report
新機能性人工金属フィンガーの創製:ライブラリーの構築と遺伝子機能制御への展開
Project/Area Number |
17390028
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
杉浦 幸雄 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (40025698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (50378866)
今西 未来 京都大学, 化学研究所, 助手 (80362391)
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Keywords | 亜鉛フィンガー / 金属フィンガー / タンパク質デザイン / DNA認識 / マルチフィンガー / ライブラリー / 遺伝子制御 / GAGAファクター |
Research Abstract |
ヒトのゲノム配列が明らかになった時代において、特定の疾患遺伝子を特異的に認識し、その遺伝子発現を人為的にコントロールすることができる人工分子は、医学・薬学領域において有用な手段となり得る。我々は天然に存在するDNA結合タンパク質である亜鉛フィンガータンパク質の特徴的な構造を基礎にして、コンピュータによる3次元構造予測の詳細な検討を行い、そのデータを用いて亜鉛フィンガーによるDNA認識のライブラリーを構築した。亜鉛フィンガーとしてはヒト転写因子Sp1のDNA結合領域として機能する3つの亜鉛フィンガーを基にした。また、選択された新規モチーフを直列に連結したマルチフィンガーを調製し、新しい金属モチーフのモジュール化構築の可能性についても追究した。その結果、亜鉛フィンガーの順列の入れ替え、DNA認識ヘリックス中の特定アミノ酸残基の点突然変異の導入、そして亜鉛配位基であるCysとHisとの相互変換などによって、亜鉛フィンガーのDNA塩基認識は大きく変化することがわかった。さらに、任意のDNA塩基配列を特異的に認識する亜鉛フィンガータンパク質の創製は、原理的にはこの構築されたライブラリーから可能であることが示唆された。他方、酸化還元型転写因子や光応答型転写因子として機能し得るコバルト、鉄および銅を含んだフィンガーペプチドを設計・合成し、DNA結合性や転写活性などについて検討した。その結果、初めてDNA塩基配列を認識できるコバルトフィンガーの創製に成功した。酸化還元反応や光化学による転写活性の制御は今後の課題であるが、極めて興味ある研究課題であると考えられる。
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Research Products
(4 results)