2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内標的ペプチドベクターの開発と細胞内送達のリアルタイム追跡
Project/Area Number |
17390029
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中瀬 生彦 京都大学, 化学研究所, 助手 (40432322)
|
Keywords | アルギニンペプチド / 細胞内送達 / ペプチドベクター / エンドサイトーシス / 核 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
近年、HIV-1 Tat由来の塩基性ペプチドをはじめとした様々ペプチドが効率的に細胞膜を透過することが明らかとなり、これを細胞内移送ベクターとして用いることにより、様々な物質を細胞内に導入できることが分かった。本研究に於いては蛍光顕微鏡を利用したリアルタイム観察により、細胞内に移行する細胞透過ベクターペプチドの挙動を検討するとともに、核やミトコンドリアといった細胞内器官局在化ペプチドとのハイブリダイゼーションにより細胞内での動態がどのように変化するかに関しての検討を行った。共焦点顕微鏡により、生細胞へのアルギニンペプチドの取り込みを追跡した結果、大部分のペプチドがエンドサイトーシスにより取り込まれ、エンドソームの観察には成功したものの、サイトゾルに移行したペプチドを効果的に観察することは出来なかった。しかし、血清非存在下、あるいはペプチド濃度を上げることにより、多くのペプチドがサイトゾルに効果的に放出されることが明らかとなった。核局在化シグナルペプチドを付加したアルギニンペプチドがアルギニンペプチドのみの場合に比べて効果的に核に集積したのに対し、ミトコンドリア局在化ペプチドを付加したアルギニンペプチドの顕著なミトコンドリアへの集積は見られなかった。アルギニンペプチドとミトコンドリア局在化ペプチドの間を細胞内で開裂可能なジスルフィド結合で架橋した場合もミトコンドリアへの局在は見られず、このシグナルペプチドは細胞内で蛋白質として発現した場合のみ有効であることが分かった。本研究遂行にあたり、英国・カディフ大学薬学部A.T.Jones博士と薬物処理条件下での生細胞観察に関して、また、ハンガリー科学アカデミーFerenc Hudecz教授と抗ガン剤の細胞内送達と観察に関しての共同研究を進め、これらの外国人共同研究者を招聘して観察技法を習得した。
|
Research Products
(5 results)