2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質特異性をもった亜鉛キレーターの創製とがん分子標的治療への展開
Project/Area Number |
17390030
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (40126008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 良成 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (20194409)
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Keywords | がん / 亜鉛蛋白質 / 配位子 / 分子標的 |
Research Abstract |
本研究は、ピリジンと金属キレート性側鎖からなる亜鉛配位子に蛋白質認識部位を導入するという分子設計にもとづき、亜鉛蛋白質の阻害剤の合成研究を行うものである。亜鉛蛋白質としてファルネシルトランスフェラーゼとADAMファミリープロテアーゼをとりあげこれらの阻害剤の分子設計を行うことが本研究の目的である。 平成17年度から亜鉛蛋白質ファルネシルトランスフェラーゼの阻害剤の合成研究を行い、最終の脱保護の段階まで到達している。平成18年度にはADAMファミリープロテアーゼ阻害剤の合成研究も並行して行った。 ヒアルロン酸を主なリガンドとする接着分子CD44は、リンパ球の活性化ならびにホーミング現象、細胞接着、細胞運動、さらにはがん細胞の増殖能、浸潤・転移能に関わることが知られており、最近になってその詳細が解明されつつある。CD44に由来する細胞接着能や細胞運動能は亜鉛含有プロテアーゼであるADAM10、ADAM17による細胞外領域切断によるもので、これががんの転移や浸潤に深くかかわっていることが明らかにされた。ADAM10、ADAM17の特異的な阻害剤が得られれば、がんの浸潤阻害剤として期待されることが示唆される。 ADAM33と阻害剤marimastatの複合体のX線結晶解析がなされ、その構造が明らかにされた。本研究では、ピリジンとキレート性側鎖からなる人工配位子にmarimastat様の蛋白質認識部位を導入するという基本方針でADAM17の阻害剤の合成開発研究を行った。すなわち(D)-酒石酸を出発原料とし、対応するエポキシ体に導きイソブチル基を導入するという方法で鍵中間体を合成し、marimastatの前駆体を得た。これにピリジンとキレート側鎖からなる亜鉛配位子を導入する計画である。
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Research Products
(3 results)