2007 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の毒性評価を目的とした霊長類薬物代謝酵素の比較生化学的研究
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17390035
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成松 鎮雄 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20113037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埴岡 伸光 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70228518)
増田 和文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00243486)
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Keywords | カニクイザル / シトクロムP450 / グルクロン酸転移酵素 / CYP / UGT / Real Time RT-PCR / 核内レセプター |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ヒトおよびカニクイザルの薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)並びにグルクロン酸転移酵素(UGT)の遺伝子クローニング及び異種細胞現系でのタンパク質発現を進めたすなわち、ヒトではCYP2C19、UGT1A9、カニクイザルではCYP2E1、 UGT1A6のcDNAをクローニングして、酵母細胞あるいは昆虫細胞発現系を構築し、その酵素機能に及ぼす影響を検討した。 まず、ヒトCYP2C19の触媒作用に重要な役割を担うアミノ酸残基の役割を、アミノ酸置換体を部位特異的変異導入法を用いて検討した。その結果、触媒メカニズム、特に基質を補足するときに、基質と相互作用するN-末端から300番目のグルタミン酸、476番目のフェニルアラニンの重要性が明らかになった。 カニクイザルCYP2E1はヒトCYP2E1と比べて、発現効率は低いものの、触媒特性はきわめて類似することが明らかとなった。 さらに、ヒトおよびカニクイザル肝細胞の初代培養系に対して、種々の薬物代謝酵素誘導剤を添加して、薬物代謝酵素(CYP, UGT, SULTなど)や薬物トランスポーター(MDR, MRPなど)のmRNAレベルに及ぼす影響をReal Time-RT-PCRにより検討した。この結果、ヒトとカニクイザルの間で、薬物代謝酵素誘導剤前処置による効果は概ね類似するものの、明確な種差も観察された。 現在、カニクイザルの薬物代謝酵素関連の核内レセプターであるConstitutive Androstane Receptor(CAR)、Aryl Hydrocarbon receptor(AHR)などをコードしているcDNAをクローニングし、その機能の類似点、相違点を検討しているところである。 以上の知見は、ヒト代替実験動物としてのカニクイザルの薬物代謝機能における人との類似性、並びに相違性(種差)を明確にするものであり、カニクイザルの実験動物としての有効利用に大きく資するものである。
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Research Products
(5 results)