2005 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌O157感染症治療薬開発のための基盤研究
Project/Area Number |
17390038
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
名取 泰博 国立国際医療センター(研究所), 臨床薬理研究部, 部長 (10164485)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 喜代孝 国立国際医療センター(研究所), 臨床薬理研究部, 室長 (40218128)
松岡 浩司 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40272281)
|
Keywords | ベロ毒素 / 腸管出血性大腸菌 / 糖鎖 / デンドリマー / 毒素阻害剤 / 食中毒 / 新興感染症 / 病原性大腸菌O157 |
Research Abstract |
病原性大腸菌O157の主たる病原因子であるベロ毒素は、細胞表面に存在する糖脂質Gb3のグロボ3糖と結合し、その毒性を発揮する。我々はこれまで、分子内に6つのグロボ3糖を有するカルボシランデンドリマー(Super Twigと命名)を合成し、これが試験管内及び動物個体の血液中でベロ毒素と強く結合し、その毒性を中和することを報告した。本研究では、個体内における毒素中和活性に必要なSuper Twigの構造を同定するために、種々の構造を有するデンドリマーを合成し、その活性を比較した。その結果、ベロ毒素の中和にはダンベル型のデンドリマー構造でその両端に糖鎖クラスターが存在すること、両クラスター間の距離は1.1nm以上であること、毒素との結合には計4個のグロボ3糖で充分だが、血中での中和には最低計6個(片方のクラスターに3個)以上の糖鎖があること、クラスター内の糖鎖は同一ケイ素に結合していること、が必要であることを明らかにした。またこのデンドリマー骨格のダンベル型構造は試験管内における中和活性には必要なく、個体内において毒素と複合体を形成した後にマクロファージによって処理されるのに必要であることがわかった。次に、Super Twigとベロ毒素との結合様式を調べるために、ベロ毒素Bサブユニット内に3つある糖鎖結合サイトにそれぞれ変異を入れたミュータント毒素を作製し、Super Twigとの結合を調べた。その結果、Super Twigの結合にはベロ毒素Bサブユニットのサイト3が重要であることがわかった。従って今後はサイト3を標的とすることが、より活性の強いベロ毒素中和剤の開発に有用と考えられた。
|