2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターを標的分子とした新規乳癌ホルモン療法システム
Project/Area Number |
17390046
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 智司 東京理科大学, 薬学部, 助手 (60303294)
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Keywords | 乳がん / ホルモン療法 / トランスポーター / エストロゲン / エストロン / MCF7 |
Research Abstract |
乳がんは現在欧米において女性の癌として患者数が非常に多い。しかし今後本国においても患者数の増大が懸念される疾患であり、それは生活習慣の欧米化が一つの原因と考えられる。乳がん治療は、外科療法、放射線療法、化学療法、ならびにホルモン療法がなされるが、特に患者数が増加する閉経後女性の乳がん治療については、副作用が少なく長期療法が可能なホルモン療法が施されている。これまでのホルモン療法の主たる治療ターゲットは女性ホルモン受容体であるエストロゲン受容体拮抗薬であった。しかし、現在使用されているエストロゲン拮抗薬は、アゴニスト作用も有するため、エストロゲン生合成に働くアロマターゼ阻害薬の有効性が注目されるようになっている。がんの治療は、耐性や毒性も含め、単独標的よりも複数の作用機構を標的とすることが望ましい。本研究では乳癌のホルモン療法における新しい治療標的の提唱を目的とした。上述のようにエストロゲン作用を低下させることがホルモン療法になるが、本研究では血液中からのホルモン供給に働くトランスポーターを標的に出来ないかと考えた基礎検討を行った。閉経後の血中の主たるエストロゲン前駆体はエストロン3硫酸である。そこでエストロン3硫酸トランスポーターがホルモン感受性に影響すると考え、乳癌細胞に備わるトランスポーターの特性解析とその阻害による乳癌細胞増殖抑制効果について測定した。その結果、モデルとして用いたMCF7細胞にはエストロン3硫酸トランスポーターが存在し、その活性を阻害することにより、細胞増殖活性の低下が観測された。現在、トランスポーターの実体は不明であり、今後in vivoでの有用性を検討するためには、標的トランスポーターの分子的実体を明らかにし、その強い阻害剤によるProof of Conceptの検討が必要である。
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Research Products
(2 results)