2006 Fiscal Year Annual Research Report
消化管における糖鎖認識分子ガレクチンの発現様式と役割
Project/Area Number |
17390048
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩永 敏彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10160128)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 正美 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (70241370)
|
Keywords | ガレクチン / レクチン / 生殖器 / in situ hybridization / プロジェステロン |
Research Abstract |
ガレクチンはガラクトースを含む糖鎖を特異的に認識するレクチンで、細胞の分化や増殖、アポトーシスを調節するほか、脂質ラフトの安定化を介して細胞内シグナル伝達系に関与する。哺乳類では、15種類のサブタイプが報告されており、組織・細胞特異的に生体内に広く存在する。卵巣に発現するサブタイプはgalectin-1とgalectin-3であり、黄体がそれらの主要な産生組織である。本研究では、性周期と妊娠に伴うガレクチンの発現変化を明らかにし、プロジェステロン代謝におけるガレクチンの関与を検討した。(結果)非妊娠マウスの卵巣において、発情期に新しく形成された黄体はプロジェステロン合成酵素(3β-HSD)を強く発現するが、ガレクチンの発現はなかった。これらの黄体は発情休止期に退行過程に入り、まずgalectin-1の非常に強い発現が認められ、ついでgalectin-3とプロジェステロン分解酵素である20α-HSDの発現が徐々に増加した。妊娠黄体はプロジェステロン産生が盛んなため3β-HSDを持続的に発現するが、ここではガレクチンの発現は完全に消失した。しかし、分娩直前になるとgalectin-3と20α-HSDを再び発現するようになり、その発現は分娩直後に最大となり、離乳まで続いた。一方、分娩後に形成された新しい黄体は、galectin-3と20α-HSDの発現を欠いていた。(考察)本研究により、退行過程にある黄体に特異的にガレクチンが発現することが明らかになった。げっ歯類の黄体退行過程は、20α-HSDの発現を特徴とする機能的黄体とアポトーシスによる構造的退行に分類されるが、galectin-3はつねに20α-HSDと相関することから、前者の過程に関与すると思われる。一方、galectin-1は黄体退行の初期に20α-HSDに先だって発現するので、黄体退行における先導的な役割が考えられる。
|
Research Products
(3 results)