2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた生理活性脂質S1P・Edg受容体システムの統合的研究
Project/Area Number |
17390054
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多久和 陽 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60171592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (80272954)
多久和 典子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (70150290)
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80333368)
|
Keywords | スフィンゴシン-1-リン酸 / Edg / 細胞運動 / Rac / Rho |
Research Abstract |
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)/Edg受容体システムの生理機能および病態生理的役割を遺伝子改変マウスを用いて解析した。Edg5ノックアウト(KO)マウスは野生型マウスに比較して低血圧を示した。アンギオテンシンII負荷、NO合成酵素阻害薬負荷に対する昇圧反応には差異が見られなかった。現在、マウス血管のRho経路の活性を検討中である。マウス後肢虚血モデルにおいて野生型マウス虚血局所へのS1Pの投与は血流回復を促進した。また、S1P産生が亢進しているスフィンゴシンキナーゼ(SphK)トランスジェニック(Tg)マウスでは野生型マウスに比して虚血後血管新生が促進していた。S1P投与に対する血流回復は野生型マウスに比較してEdg5-KOマウスでは促進していた。また、培養血管内皮細胞によるインビトロ管腔形成アッセイでEdg5受容体遮断はS1Pの血管新生作用を増強した。これらの結果から、Edg5がインビトロ、インビボにおいて血管新生に抑制的に作用することが明らかになった。血管透過性については現在検討中である。Edg1-Tgマウスが生後3カ月より進行性の心肥大を呈することを見い出した。心筋細胞ではEdg1発現が亢進しており、ERKリン酸化も増加していた。また、心肥大はアンギオテンシンIIシグナルに依存していた。Edg5を介した癌(メラノーマ)細胞遊走抑制はRhoに依存していたがRhoキナーゼには依存せず、またPTENを必要としなかった。Edg5は同細胞のフィブロネクチンへの接着を強く抑制した。また、尾静注肺転移モデルでは、注入後10分の肺血管塞栓がEdg5活性化により低下した。Edg5-KOマウスにおいて腫瘍発生の差異を検討中である。
|