2005 Fiscal Year Annual Research Report
末梢循環における血管平滑筋と内皮細胞の機械刺激受容伝達機構の分子薬理学的解明
Project/Area Number |
17390067
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80037506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大池 正宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70271103)
森田 浩光 九州大学, 大学病院, 医員 (30380463)
井上 隆司 福岡大学, 医学部, 教授 (30232573)
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Keywords | 末梢抵抗血管 / Ca^<2+>動員機構 / 機械刺激感受性チャネル / TRP蛋白質 / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 / 脂質メディエーター / リアノジン受容体 |
Research Abstract |
血管内圧上昇に伴う反射性血管収縮は、交感神経や血管作動性ホルモンとともに抵抗血管の緊張度を制御する重要な因子である。本研究では、これに密接に関わるCa^<2+>チャネル分子としてTRP蛋白質に着目し、動脈系に特に優勢に発現している2つのisoform TRPC6,TRPM4について、その機械刺激感受性の発現機構を検討し、以下のことを明らかにした。 実験1:(1)HEK293細胞に組換え発現したTRPC6チャネルの活性は、細胞膜の伸展刺激によって著しく増強された。(2)この増強は20-HETE(20-hydroxyeicosatetraenoic acid)産生に関わる酵素ω-hydroxylaseの阻害薬HET0016(3-10μM)によって完全に抑制された。一方、細胞外から投与した2-HETEはTRPC6チャネルを増強した。(3)TRPC6蛋白質が優勢に発現している腸間膜動脈筒状標本を用いて反射性血管収縮機序について検討した。α1-アドレナリン受容体が部分的に活性化されている時のみ、血管内圧上昇(>50mmHg)に対する反射性血管径減少が観察され、この減少はHET0016(3-10μM)の前投与によってほぼ完全に消失した。以上より腸間膜循環においては、交感神経活性増加による受容体刺激と血管内圧上昇による機械刺激が20-HETEの産生を介して、共同的に血管緊張度を維持していることが明らかとなった。 実験2:(1)大脳動脈から単離した平滑筋細胞膜に膜伸展刺激(>30mmHg)を加えると、約20pSのコンダクタンスを有し組替え発現したTRPM4チャネルに酷似した特性を示す陽イオンチャネルが活性化された。(2)この活性化は、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位の枯渇やリアノジン受容体阻害薬によって阻害された。他のグループの結果より、大脳動脈標本を用いてTRPM4蛋白質の発現を抑制すると、血管内圧上昇に伴う反射性血管径減少が著しく減弱することが報告されているので、本実験の結果は、膜伸展刺激が細胞内Ca貯蔵部位からのCa放出を誘発し、TRPM4チャネルを活性化することによって動脈細胞膜の脱分極を引き起こしていることを示している。
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Research Products
(2 results)