2005 Fiscal Year Annual Research Report
メチルフェニデートの精神依存形成機構に関する基礎的研究
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17390069
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
鈴木 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90130757)
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Keywords | メタンフェタミン / メチルフェニデート / Phoshpinositide-3 kinase(PI3-K) / ドパミン / セロトニン / 逆耐性 / 報酬効果 / in vivoマイクロダイアリシス法 |
Research Abstract |
本研究では、ナルコレプシーや小児の注意欠陥・多動性障害の第一選択薬として繁用されるメチルフェフェニデートと、覚せい剤であるメタンフェタミンの相違を行動薬理学的に検討した。ラットにメタンフェタミンもしくはメチルフェニデートを投与したところ、側坐核内における細胞外ドパミン濃度の著明かつ有意な上昇およびドパミンの主要代謝物であるDOPACの細胞外濃度の有意な減少が認められた。また、側坐核内におけるメタンフェタミンおよびメチルフェニデート誘発ドパミン濃度の上昇は選択的phosphoinositide-3 kinase(PI3-K)阻害薬であるwortomanninの前処置によって有意に抑制された。このことから、メタンフェタミンおよびメチルフェニデート誘発ドパミン遊離促進作用にはPI3-Kが関与していることが示唆された。一方、マウスにメタンフェタミンを処置することにより、ドパミンと同様に側坐核内における細胞外セロトニン濃度の著明な上昇が認められた。しかしながら、メチルフェニデートを処置しても側坐核内の細胞外セロトニン濃度に変化は認められなかった。一般に、覚せい剤などの中枢興奮薬を動物に反復投与することにより、薬物に対する感受性の増強、すなわち逆耐性が形成されることが知られている。そこで、メチルフェニデートが逆耐性を形成するか否かを、マウスにおける自発運動促進作用を指標としたところ、メチルフェニデートの反復投与によって行動感作は引き起こされなかった。この結果より、メチルフェニデートは覚せい剤とは異なり逆耐性を形成しないことが明らかとなった。さらに、メタンフェタミン誘発報酬効果は休薬後2週間に渡り持続したが、メチルフェニデート誘発報酬効果は休薬後速やかに消失した。以上、本研究により、メタンフェタミンとメチルフェニデートでは依存形成機構が一部異なることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)