2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ras/Rap標的蛋白質ホスホリパーゼCεの生体内機能の解明
Project/Area Number |
17390078
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40144472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20251655)
島 扶美 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70335438)
|
Keywords | ホスホリパーゼC / 低分子量G蛋白質 / Ras蛋白質 / イノシトール脂質代謝 / 炎症反応 / 発癌プロモーション / ノックアウトマウス / トランスジュニックマウス |
Research Abstract |
1,PLCε遺伝子ノックアウトマウスの皮膚では、ホルボールエステル(TPA)刺激に対する浮腫を伴う炎症応答や好中球浸潤が野生型マウスと比較して著しく抑制されていた。PLCεは炎症浸潤細胞では発現していないので、皮膚においでサイトカインの発現誘導などを介して炎症反応を惹起すると考えられた。実際、PLCεノックアウトマウスから調製したケラチノサイトと真皮線維芽細胞においてTPA刺激で誘導されるサイトカインmRNAを定量したところ、好中球浸潤に係るMIP-2を含む複数のサイトカインの発現が顕著に低下していた。また、皮膚線維芽細胞において、細胞内カルシウム濃度上昇を指標に、TPA刺激がPLCεを活性化することを証明した。また、マウスを用いた他の炎症誘導実験系(大腸炎モデルおよび接触皮膚炎モデル)においても、PLCεノックアウトマウスにおいて炎症反応の著明な抑制が認められた。これらのことから、PLCεが炎症性サイトカインの発現誘導を介して炎症応答に広く関与することが示唆された。 2,PLCεノックアウトにより、APC遺伝子の変異を持つMinマウスの腸の腺腫発生数の減少とその悪性化の顕著な抑制が認められた。この結果は、以前発表したPLCεノックアウトによる二段階皮膚化学発癌の顕著な抑制効果とともに、炎症反応による発癌の促進効果を考える上で非常に興味深い。 3,Cre-loxP系を用いてPLCεを組織特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した。CAG-Creマウスとの交配によるPLCεの全組織での発現は胎児致死性を示したので、ケラチン5-Creマウスとの交配により、PLCεを皮膚ケラチノサイトにて特異的に発現するマウスを作製した。このマウスでは、PLCεの皮膚での過剰発現が見られ、炎症を伴うハイパーケラトーシス様の表現型が観察された。
|
Research Products
(3 results)