2005 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βのシグナルを抑制するHtrAセリンプロテアーゼファミリーの研究
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17390079
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川市 正史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00195041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 千緒 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (30263445)
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Keywords | HtrAセリンプロテアーゼ / 関節炎 / プロテオグリカン / TGF-β / 遺伝子破壊マウス / 肥大軟骨 / 骨芽細胞 / コラーゲン |
Research Abstract |
(1)関節炎とHtrAl: マウスにリューマチ性関節炎のモデル関節炎を誘導すると、関節軟骨中のHtrAl量が上昇した。この結果は、HtrAlはヒトの変形関節炎のみならず、病因の異なるリューマチ性関節炎でも発現上昇し、両関節炎の軟骨破壊が共通の機構によることを示している。 (2)HtrAlの生理的基質の探索: 活性のあるHtrAlタンパク質を大腸菌と培養昆虫細胞で産生することに成功した。単離された関節軟骨の種々の成分タンパク質を精製HtrAlと反応させると、主要なプロテオグリカンであるデコリンとバイグリカンが急速に分解された。破砕した正常軟骨、あるいは正常軟骨の抽出液を精製HtrAlと反応させた後、ウエスタン法でタンパク質の分解を検討したところ、デコリンやバイグリカンの分解が観察された。また、関節炎マウスの関節軟骨中には高濃度にHtrAlが集積した部分が存在し、この部分ではプロテオグリカンの顕著な減少が観察された。この結果はHtrAlの生理的基質がプロテオグリカンである可能性を強く示唆した。 (3)HtrAlによるTGF-β抑制機構の解明: デコリンとバイグリカンはTGF-βと結合し、TGF-βの効率的なシグナル伝達を補助したり、あるいは過剰量ではシグナル伝達を抑制することが知られている。HtrAlはこれらのプロテオグリカンを分解することにより、TGF-βシグナル伝達を制御しているものと考えられ、今後これを証明する実験を行なう。 (4)HtrAlノックアウトマウスの解析: KOマウスは外見上の異常はないが、骨成長板の軟骨細胞の構築が乱れコラーゲン産生にも異常があった。そこで、初代軟骨細胞及び骨芽細胞培養により、細胞分化に及ぼすHtrAlの作用を検討したところ骨芽細胞分化が正常より遅れるという知見を得て、これをさらに検討中である。
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Research Products
(1 results)