2007 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βのシグナルを制御するHtrAセリンプロテアーゼファミリーの研究
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17390079
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川市 正史 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (00195041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 千緒 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30263445)
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Keywords | HtrA1 / 変形性関節炎 / コラーゲン分泌 / C-プロペプチド / 骨密度 / オステオカルシン / 石灰化 / 肥大軟骨細胞 |
Research Abstract |
(1)HtrA1タンパク質分解酵素活性の特性を明らかにする:CHO細胞とレトロウイルスベクターを用いたタンパク質の大量産生システムを用いて、野生型とS372A活性欠損型の全長HtrA1タンパク質の産生を試みたが、IRESで発現させたGFPの発現量は高いにも関わらず、HtrA1タンパク発現量は両者とも非常に少なかった。CHO細胞に毒性を示すと考えられる。そこで、Pichia酵母を用いた発現を試みるため発現ベクターを作成した。 (2)HtrA1の細胞外基質タンパク質代謝における機能を明らかにする:I型コラーゲンα1鎖とHtrA1を293T細胞に共発現させると、I型α1鎖のN-及びC-プロペプチド部分が切断された分解産物が細胞抽出液中で検出された。S372A変異型のHtrA1を使うとこの分解産物は見られない。また、PDZドメインを欠くHtrAlでは分解の著明な減少が見られた。これは、HtrA1が細胞内の分泌過程でPDZに依存してコラーゲン分子を分解する活性があることを示す。 (3)関節炎発症におけるHtrA1の役割の解析:間歇投与カルセイン沈着による造骨速度測定、およびCTスキャンでの骨密度測定を行ったところ、KOマウスで若干の低下が見られた。また、KOマウスでは幼若マウスの2次骨化中心の境界にある肥大軟骨細胞でオステオカルシン量の増大が見られた。同じ細胞で10型コラーゲンの産生量も増大していた。これは、後期の肥大軟骨層で石灰化が亢進していることを示唆し、HtrA1の欠損は軟骨での石灰化を促進する可能性が示された。抗コラーゲン抗体の注射により関節炎を引き起こしたところ、KOマウスと野生型で関節の腫脹の程度や組織像に差は見られなかった。より詳細な解析はHtrA1とHtrA3のダブルKOマウスを使って行う。
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