2005 Fiscal Year Annual Research Report
TFAM過剰発現動物を用いたミトコンドリアDNA老化仮説の実証
Project/Area Number |
17390095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
康 東天 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80214716)
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Keywords | ミトコンドリア / TFAM / ミトコンドリアDNA / 活性酸素 / 電子伝達系 / 老化 / トランスジェーニックマウス / 心不全 |
Research Abstract |
ヒトミトコンドリア転写因子A(TFAM)はミトコンドリアDNAの転写因子としてクローニングされたものであるが、我々のグループはTFAMがミトコンドリアDNAにおいてヒストン蛋白質様の機能を果たし、ミトコンドリアゲノムの維持に決定的な役割を果たしていることを報告して来た。今回申請者らはTFAM cDNAをアクチン遺伝子のプロモーターの下流に挿入したベクターを用いて、遺伝子導入し、ヒトTFAMを過剰発現しているトランスジェーニックマウスを作製した。アクチン遺伝子のプロモーターのヒトTFAM制御下にある影響で、ヒトTFAMは特に心筋と骨格筋に多く発現していた。このトランスジェーニックマウスを用いた部分心筋梗塞モデルでの、酸化ストレスの程度と各種の心機能・ミトコンドリア機能に対するTFAM過剰発現の影響を調べた。部分心筋梗塞を起こさせたコントロールマウスに比べ、TFAMトランスジェーニックマウスでは、 (1)脂質過酸化反応物質に蓄積が3分の一であった。 (2)ミトコンドリアDNA量は正常レベルを維持していた。 (2)ミトコンドリア電子伝達系の活性もコントロールでは約50%まで減少していたのに対し、ほとんど正常レベルを維持していた。 (3)TFAMトランスジェーニックマウスは部分心筋梗塞後も心機能が非常によく維持され、コントロールに比べ心拡大も軽度であった。 (4)結果として、部分心筋梗塞後4週間の死亡率がコントロールが約30%であったのに対して、トランスジェーニックマウスでは0%であった。 これらの結果はTFAMがミトコンドリアゲノムの安定性に重要な役割を果たしていることと、酸化ストレスからミトコンドリアゲノムを保護することは新機能の維持にも重要であることを個体レベルではっきりと示した。
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Research Products
(6 results)