2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390096
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
遠藤 元誉 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 文部科研研究員 (40398243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 知己 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 講師 (20264286)
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Keywords | 小胞体ストレス / CHOP / IL-1β / カスパーゼ11 / 炎症 / グルタミン酸 / 神経細胞死 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
小胞体内での構造異常蛋白質蓄積により誘導される小胞体ストレス経路は、細胞に対する種々のストレスにより誘導され、細胞保護に働く。しかし、それらのストレスが過剰な場合には、アポトーシスが誘導され障害細胞全体が除かれる。この小胞体ストレス誘導性アポトーシスには、小胞体ストレス誘導性転写因子CHOPが関与する系などが知られている。小胞体ストレス経路は様々な細胞内外からのストレスにより活性化されるため、種々の疾患の病態に小胞体ストレス系は関与しており、最近これらの疾患は小胞体ストレス病と呼ばれる。本研究では、種々の疾患モデルを作成し、小胞体ストレス-CHOP経路の病態への関与機構について解析した。 LPS誘導性の炎症モデルでは、小胞体ストレス-CHOP経路依存性にカスパーゼ1、11系が活性化され、IL-1β前駆体の活性化に働くことを明らかにした。小胞体ストレス-CHOP経路はアポトーシス誘導だけでなく、サイトカイン活性化・分泌調節を介して炎症病態の調節に働いていると考えられる。 また、神経系細胞の生存と小胞体ストレスの関係についての解析をおこない、神経細胞は過剰なグルタミン酸刺激を受けた場合も、虚血や神経栄養因子欠乏状態におかれた場合も、小胞体ストレス-CHOP経路を介してアポトーシスが誘導されることを見い出した。脳においては、生後も脳室下領域などの神経幹細胞が存在し、新たな神経細胞が供給されていると最近は考えられている。これらの新規に供給された細胞は、酸素、グルコース、栄養因子の供給や正しいシナプス形成などをお互いの間で競合し、生存に適した状態を確保できた細胞だけが残存し、他はアポトーシスにより淘汰されると考えられている。実際、CHOPノックアウトマウスでは、脳室下領域を中心に脳容積の拡大を認めた。この結果より小胞体ストレス系が、新生神経細胞の淘汰に関与していると推測された。
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Research Products
(6 results)