2005 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素(NO)によるゲノム修飾と制御の分子基盤の解明に向けた研究
Project/Area Number |
17390097
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥 照夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (00346975)
有本 博一 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60262789)
|
Keywords | NO / 8-ニトログアニン / 8-ニトログアノシン / 変異原性 / 修復システム / デナイトラーゼ / 核酸損傷 / 脱プリン反応 |
Research Abstract |
NOによるゲノム修飾と制御のメカニズムの解明に向けた研究を推進している。 特に、本年度は、NOによる核酸塩基グアニンのニトロ化に伴った変異原性について検討した。具体的には、CHO細胞に大腸菌のgpt遺伝子を組み込んだAS52細胞を8-ニトログアノシンで処理して、本細胞のgpt遺伝子の変異誘発頻度と変異パターンを解析した。その結果、8-ニトログアノシンは、AS52細胞に対して、過酸化水素に匹敵する強力な変異誘発作用を発揮し、その変異スペクトラムは、主にG→Tトンスバージョンを認めた。また、8-ニトログアノシン処理により、細胞のDNA中に脱プリンサイトが有意に生成することも明らかとなった。従って、NOによりDNA中に生じたニトログアニンが脱プリン反応を誘発して、DNAに対してゲノム変異をもたらしているもと推察された。 さらに、興味あることにマウス培養マクロファージにより、8-ニトログアノシンの8位のニトロ基を脱離する酵素活性、すなわち、デナイトラーゼ様活性が発現されることが分かってきた。これまで、真核、原核細胞に当該酵素の存在は全く知られておらず、本酵素が、DNAやRNA、および、細胞のヌクレオチドプールで生じた、8-ニトログアノシンや8-ニトログアニンの新しい修復システムを構築している可能性が示唆される。今後、様々な組織、細胞の8-ニトログアノシン・8-ニトログアニン デナイトラーゼ酵素の本体の解明が期待される。
|
Research Products
(12 results)