2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMDはAluのゲノム内蓄積による遺伝子破壊に対する防御機構か
Project/Area Number |
17390102
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
井上 健 国立精神・神経センター, 疾病研究第二部, 室長 (30392418)
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Keywords | ナンセンス変異依存分解機構 / Alu / ゲノム / RNA干渉 / 進化 / 選択的スプライシング |
Research Abstract |
我々は、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(nonsense mediated decay ; NMD)の生理的な働きの一つとして、選択的スプライシングによりエクソン化されたAlu配列をはじめとする分散型高頻度反復配列を含むmRNAを認識、破壊することにより、これら反復配列が蛋白のアミノ酸配列に入り込むことを防いでいるのではないか、との仮説を立てた。本研究では、RNA干渉を用いて、NMDを特異的に抑制したヒト細胞株を作成し、その細胞の転写産物の解析を網羅的に行うことにより、NMDがAlu配列を含むスプライシング変異体mRNAの除去に必須であるかを検証することを目的とする。本年度は以下の2項目について成果を得た。 1.RNA干渉により特異的にNMDを抑制した細胞株の確立 2.NMD抑制によるAlu配列を含むエクソンの顕在化の検証-既知遺伝子での限定的解析 1についてはベクター法とオリゴ法の2種類の方法を用いて、HeLa細胞においてNMDのによるmRNA変性機構の中心的役割を担う蛋白の一つであるUPF1の発現抑制系を確立し、その効率などを評価した結果、後者を以降の実験に用いることにした。現在、コンスタントに約90%の抑制効率を得ることができている。2については約50個のAlu配列がエクソン化された選択的スプライス変異体を有する遺伝子をデータベースから選択し、そのうちHeLa細胞で発現が認められた約20個を以降の実験の対象として選択した。サイクロヘキサミドおよびRNA干渉を用いてNDMを抑制したHeLa細胞から抽出したRNAを用いて、それぞれの遺伝子におけるAlu配列を含有する選択的スプライス変異体の発現効率を、野生体との発現と比較した。その結果、Alu配列がエクソン化された選択的スプライス変異体の発現量はどの遺伝子についても非常に低いこと、そしてNMD抑制による発現の変動が限定的であることがわかった。
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Research Products
(1 results)