2006 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF受容体の妊娠中毒症への関与の解析と治療への応用
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17390110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / VEGF受容体 / 腎障害 |
Research Abstract |
妊娠中毒症は、可溶型VEGFR-1/Flt-1(sFlt-1)の胎盤からの異産生が原因の1つとされており、その発現、作用機序および抑制法の開発は、新しい治療法の確率に需要と考えられる。我々は平成18年度以下の結果を得た。 (1)sFlt-1の遺伝子発現に関する細胞系の検討 sFltは、個体レベルでは主に胎盤の栄養細胞層で生産される。そこでマウス栄養細胞の未分化細胞(肝細胞)であるTrophoblast stem Cell(以下TS cell)を培養し、FGFなどの未分化維持サイトカインを低下させ、分化誘導した際のsFlt-1 mRNAレベルを検討した。その結果、分化誘導に従ってtotal flt-1 mRNAが5倍以上に上昇することが明らかとなった。sFlt-1は一定の割合でtotal flt-1 nRNA中に存在することから、sFlt-1の発現を反映していると考えられ、実験系として有用と判断された。この系に種々のストレスを加えてたが、これまでには異常な遺伝子発現上昇は観察されていない。転写制御機構の解析と、他のストレス添加による解析が重要である。 (2)妊娠中毒症のモデル系をマウスにおいて作成するため、人為的なsFlt-1過剰状態の作成を試みた。まずsFlt-1 cDNAをバキュロウイルス発現ベクタに組み込み、タンパク質を大量調製した。これを妊娠マウスあるいは妊娠ラットに静注し、尾動脈で妊娠中毒症の指標である血圧測定を行った。容量依存症に血圧の上昇が認められたが、数時間程度の一過性の上昇であることが明らかとなった。持続的に高血圧を維持するには、大量のsFlt-1タンパクの調製が必要と考えられる。 (3)妊娠中毒症に対する治療実験としてVEGF-Eの利用を予定し、そのためのVEGF-E発現細胞を作成した。
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Research Products
(3 results)