2006 Fiscal Year Annual Research Report
がんの浸潤過程を制御する2つの機構-上皮間葉移行と細胞運動能の調節に関する研究
Project/Area Number |
17390120
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Research Institution | Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases Osaka Prefectural Hospital Organization |
Principal Investigator |
伊藤 和幸 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター, 研究所, 部長 (20301806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 潔子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター, 研究所, 主任研究員 (40342993)
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Keywords | がんの浸潤 / SSX / NASBA / siRNA / 細胞骨格 / Rho / ROCK / IGF |
Research Abstract |
がんの浸潤過程を制御する2つの機構-上皮間葉移行と細胞運動能の調節に関する研究課題において、平成18年度は特に新規浸潤制御分子SSXに関する機能解析と、分子標的治療の開発に関する研究が進んだ。SSXは元来滑膜肉腫の原因融合遺伝子の一つ(Synovial Sarcoma breakpoint-X)としてcloningされ、Cancer testis antigenの一つとして、米国でがんワクチン治療の臨床試験が開始されているが機能に関しては不明であった。我々は5年ほど前より当センター病院整形外科と共同で研究を開始、SSX mRNAのNucleic Acid Sequence-Based Amplification (NASBA)定量系(特許を有するカイノス(株)との共同研究)を確立し、倫理委員会の承認下2年間の骨軟部腫瘍手術症例211全例を解析、悪性腫瘍群と良性腫瘍群の間で発現量に30倍以上の差を認め、特にstageの進んだ転移症例では高値であることを報告した。ヒト骨肉腫細胞にSSXを過剰発現させた細胞株を作製すると、運動能、浸潤能の亢進、soft agar colony形成の増加を認めnude mice移植における造腫瘍能の著明な増加を認め、逆にSSXを高発現するヒト線維芽肉腫株(HT1080)にSSX特異的siRNAを導入してその発現を低下させると、浸潤能、運動能の低下を認めた。これら両者で細胞形態の変化を認め、アクチン細胞骨格の変化と低分子量Gタンパク質Rho familyの活性の変化を観察した。現在SSX結合タンパク質の分離同定と下流の細胞内シグナル(IGF、 MMP1が関与)をさらに詳細に検討すると共に、製薬企業と共同でHT1080のnude miceのXenograft modelを用いて、siRNAを用いた分子標的治療実験(前臨床試験)を行っている。
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Research Products
(5 results)