2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞ホーミング特異性を制御する新規因子の探索と同定
Project/Area Number |
17390147
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
岩田 誠 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50160122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 時栄 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (00399693)
大岡 嘉治 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教授 (60303971)
竹内 一 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (00421298)
横山 峯介 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40090930)
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Keywords | 免疫細胞 / Tリンパ球 / Bリンパ球 / ビタミンA / ビタミンD / レチノイン酸 / ホーミング / 腸管免疫 |
Research Abstract |
目的:免疫系の司令塔であるT細胞に小腸組織へのホーミング特異性を刷り込む因子の分子実体がレチノイン酸であることを我々は発見した(Immunity 21:527,2004)。本研究では、レチノイン酸以外の、あるいはレチノイン酸との組合せで、小腸とは異なる組織特異性をインプリントする新規因子を探索し、その分子実体を同定することによって、リンパ球ホーミングの乱れが関与する疾患の制御や予防に向けた新たな方法論確立のための基盤を構築することを目指している。 結果:本年度は、ビタミンDによるホーミング受容体の発現制御を中心に解析した。我々は既に、レチノイン酸を添加せずにT細胞を活性化した際には、いわばデフォールトで皮膚へのホーミングに必要な受容体の一部が発現誘導されることを示した。昨年度は、活性型ビタミンDである1α,25-dihydroxyvitamin D3(VitD3)には、皮膚へのホーミング特異性獲得を一部促進する傾向があることと、そしてレチノイン酸による小腸特異的ホーミング受容体α4β7およびCCR9の発現誘導を抑制する活性があることについて報告したが、本年度はさらに、阻害の経時的変化やVitD3処理した細胞をマウス個体に移入するin vivo実験などによってこの活性を解析、確認した。しかし、本年度末(2007年3月)に、Stanford大のButcherのグループが、in vitro実験において、レチノイン酸による小腸ホーミング受容体発現誘導をVitD3が抑制することを報告した(Nature Immunol.8:285,2007)。彼らはVitD3とIL-12の組合せによりT細胞に皮膚へのホーミングに関与するCCR10の発現が誘導されることを見出し、我々の発見(レチノイン酸による腸へのホーミング特異性刷り込み)と対照しながら、VitD3が皮膚へのホーミング特異性刷り込み因子であると提唱した。しかし、CCR10発現はin vitroでも高々10%の細胞にしか誘導できなかったことと、正常皮膚の多くはCCR4陽性であり、皮膚への移入にはCCR4が必要だがCCR10は必要ではない(J.Immunol.178:3358,2007)ことを考慮すると、皮膚へのホーミングを刷り込む中心的な因子は他に存在する可能性が残されている。その他の核内受容体リガンドのホーミング特異性への効果についても引き続き、検討を続けている。 レチノイン酸以外のホーミング特異性制御因子を探索する上で、それらの因子が組織特異的に生成されることが予想される。組織特異的な生成酵素の発現誘導機序の解明が一つの鍵になる。しかし、レチノイン酸生成についても、何故、小腸に付随するリンパ系器官の樹状細胞に特異的に生成酵素が発現するのか不明である。そこで、樹状細胞にレチノイン酸生成の鍵となるretinaldehydrogenase(RALDH)の発現誘導の機序について解析を開始した。また、レチノイン酸については、T細胞ばかりでなく、IgA^+B細胞の小腸組織へのホーミングにも必須な因子であることが判明した。
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Research Products
(5 results)