2006 Fiscal Year Annual Research Report
老化を促進する酸化損傷タンパク質の機能プロテオミクス解析と病的老化予防法の開発
Project/Area Number |
17390170
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 伸二 三重大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10277006)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 信介 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (20198625)
村田 真理子 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10171141)
|
Keywords | 老化 / 酸化ストレス / プロテオミクス解析 / バイオマーカー / 老化促進モデルマウス / アルポートマウス / サル / 脳機能障害 |
Research Abstract |
現在、日本では急速な高齢化が進み老年疾患の罹患率が上昇している。その原因に酸化ストレスの関与が示唆されているが、老化に伴って蓄積する酸化損傷タンパク質の種類や機能はほとんど解明されていない。本研究では、プロテオミクス解析により、個々のタンパク質の発現と修飾を解析し、老化促進の原因タンパク質の特定を目指す。本年度は、昨年度解析を行った脳機能障害を示す老化促進モデルマウスSAMP8に加え大脳萎縮を伴う変性を生じるSAMP10を用いて、脳機能障害に関与すると考えられるタンパク質の同定を行った。また、腎機能障害を引き起こすアルポートマウスにおいてもプロテオミクス解析により腎障害における酸化ストレスの役割の解明を行った。さらに、霊長類のサルを用いて虚血再還流により酸化ストレスを暴露した脳の海馬のプロテオミクス解析も併せて行った。 SAMP8の発現プロテオミクス解析では、増加したスポットが2つ、減少したスポットが3つ認められた。同定の結果、変化した5つのスポットはMitochondrial inner membrane protein (Mitofilin)とTubulin β-2C chainであり、それぞれ等電点が変化する修飾を受けていると考えられた。機能プロテオミクス解析ではSAMP8はカルボニル化タンパク質量が多く、SAMR1よりも多くの酸化損傷を受けていた。個々のスポットを同定した結果、Actin、グリア線維性酸性タンパク質などの細胞骨格タンパク質や、Mu-crystallin homologなどのカルボニル化がSAMP8で増加していたことから酸化ストレスによる老化促進のバイオマーカーとなる可能性がある。また、SAMP10では、Neurofilament protein等が病変部で早期に増加していた。さらにアルポートマウスでは5つ、サルでは約50個のスポットが酸化ストレスにより経時的に変動していたので現在同定を行っている。
|
Research Products
(8 results)