2007 Fiscal Year Annual Research Report
老化を促進する酸化損傷タンパク質の機能プロテオミクス解析と病的老化予防法の開発
Project/Area Number |
17390170
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 伸二 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
野村 信介 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (20198625)
古川 絢子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 研究員 (10455537)
|
Keywords | 老化 / 酸化ストレス / プロフオシクス解析 / バイオマーカー / 慢性腎不全 / Hsp70 / 神経細胞死 / 記憶障害 |
Research Abstract |
日本人の平均寿命は,男女とも世界の中でトップクラスとなるに至った。しかしその一方で,急速な高齢化が進み老年疾患の罹患率が上昇している。その主要な原因の一つとして酸化ストレスが注目され,酸化損傷されたタンパク質の増加・蓄積が老化促進につながると考えられているが,老化に伴って蓄積する酸化損傷タンパク質の種類や機能はほとんど解明されていない。本研究では,酸化ストレスによって損傷される個々のタンパク質を機能プロテオミクス解析を用いて明らかにする。本年度は,慢性腎不全を示すコラーゲンIV型ノックアウトマウスの腎臓を摘出しプロテオミクス解析を行い,コントロールに対しノックアウトマウスで19スポットが有意に増加し,33スポットが減少した事を認めた。これらのスポットは,α-チュブリンやRho GDI1などと同定され,慢性腎不全のバイオマーカーとなる可能性が考えられる。さらに,一過性脳虚血において海馬CAI領域では選択的な神経細胞死が起こり,記憶障害に至ることが示唆されている。また,この時強い酸化ストレスが曝露されることもよく知られている。本研究では虚血再灌流を行ったサル海馬CA1領域を用いて機能プロテオミクス解析を行い,各々のタンパク質の酸化損傷度について検討した。更に発現プロテオミクス解析を行い,タンパク質発現量の経時変化についても向時に検討を行った。その結果,細胞死抑制機能が知られているHeat shock 70 kDa protein 1(Hsp70-1)が非常に強く酸化損傷を受けていることを初めて明らかにした。Hsp70-1の顕著な酸化損傷は虚血再灌流における神経細胞死誘導機構に重要な役割を果たしていると考えられる。またDihydropyrimidinase-like2(DRP2)は神経細胞死のバイオマーカーになる可能性が示唆された。
|
Research Products
(19 results)