精神的ストレスが僧帽筋中のヘモグロビン動態に与える影響

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17390172
• Research Institution: Shiga University of Medical Science
• Principal Investigator: 垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (90236175)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20293821) ; 辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40311724) ; 西山 勝夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60077691)
• Keywords: 頸肩腕障害 / 筋中ヘモグロビン / Near infrared spectroscopy

Research Abstract

平成17年度は予備実験を経て本実験をおこなった。
実験概要
1)方法
被験者は、インフォームドコンセントを行った喫煙習慣のない20歳から40歳未満の20人である。自覚症状および身体機能検査、頸肩腕障害に関する検診を行った後に、室温を23度にコントロールした環境実験室内で、椅座位による安静、立位による1分間の両上肢水平挙上、立位による1分間の両上肢水平挙上とカラーワードテストを行わせ、この間の右僧帽筋中部で筋中ヘモグロビンおよび表面筋電位を測定した。筋中ヘモグロビン濃度の測定にはNear infrared spectroscopyを用いた。また、ストレス強度判定のために心拍数を連続測定した。
2)結果考察
安静時筋中ヘモグロビン濃度には個体差があった。そこで筋中ヘモグロビン動態に対するストレス影響の判定には、各被験者の安静時ヘモグロビン濃度を規準値とする標準化操作を行い比較検討した。現在、結果解析中であるが、上肢挙上時の僧帽筋中ヘモグロビンは、精神的ストレスが負荷されることで酸素化ヘモグロビン濃度は著変しないものの、脱酸素化ヘモグロビン濃度は減少する傾向にあることが判明した。この結果は、先行研究で頸肩腕障害患者と健常者の上肢挙常時のヘモグロビン動態を調べた結果と類似していた。また、精神的ストレスが加わることで筋組織での酸素消費が抑制される可能性を示すものであり、頸肩腕障害発症への精神的ストレスの関与機序解明に意義あるものと考える。
3)今後の課題
本実験では、精神的ストレス負荷時間が1分間と短かったことから、今後はより長時間の精神的ストレス負荷の影響について検討する必要がある。
次年度は、追加実験と研究成果のまとめを行う予定である。