2006 Fiscal Year Annual Research Report
カタラーゼ遺伝子の変異を指標とした有害物質のスクリーニング法の開発とその実用化
Project/Area Number |
17390173
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
汪 達紘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90294404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 研 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (70108158)
佐野 訓明 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00294405)
益岡 典芳 岡山理科大学, 理学部, 教授 (20116502)
伊藤 武彦 岡山大学, 教育学部, 助教授 (10291973)
荻野 景規 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70204104)
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Keywords | カタラーゼ遺伝子 / 形質転換菌 / ローソン / ヘンナ製品 / CATアッセイ / 過酸化水素 / 抗酸化物質 / 有害性評価 |
Research Abstract |
この研究ではカタラーゼ遺伝子を直接の指標とする有害物質に対する新しいリスク評価方法の開発とその実用化を目指している。今年度はカタラーゼ遺伝子変異マウス由来のカタラーゼを導入した形質転換菌株を用い,日常生活の中に広く用いられている市販の染料であるヘンナ製品(タトゥーや髪染めなど)及びその抽出物であるローソンの生体影響について調査を行い、以下の成績を得た。 1.CAT assayと名づけられたコロニーの形成能の計測及ぴ感受性デスク法を用いて、カタラーゼ活性の異なる形質転換菌Cs^a(正常カタラーゼ活性を有する)及びCs^b(低カタラーゼ活性を有する)にヘンナ製品及びローソンを曝露させると酸化的ストレスによる濃度依存的な細胞障害を示され、しかもその障害が各菌株の過酸化水素の代謝酵素であるカタラーゼの活性とは負の相関であることが明らかとなった。ヘンナ製品及びローソンによる細胞障害に過酸化水素が関連することが示唆された。 2.ローソンの曝露濃度依存性に過酸化水素の生成上昇を認め、ローソンの細胞毒性に過酸化水素の関与を分った。 3.抗酸化作用を有する物質catalase、 SOD、 capsaicin、 ascorbic acidなどで前処理された菌株にヘンナ製品及びローソンの投与により細胞毒性は減少し、Cs^a、Cs^b菌株間の差についても減少した。 4.金属キレート剤であるDTPAをローソンと一緒に各菌株に曝露するとDTPAの曝露濃度が高ければ高いほど各菌株の生存率が上がり、量-反応関係が見られた。ローソンによる細胞毒性には金属イオンが介していることが示唆された。 本研究によって得られた菌株を、化学物質に曝露させることより生ずる培地上のコロニー数の差異或いは阻止円の有無から、毒性発現が酸化的ストレスによるか否かを評価することができるようになったため、この技術は有害化学物質の新しいスクリーニング手法への可能性を示していると思われる。
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