2006 Fiscal Year Annual Research Report
周産期母子の精神的健康を目指す産科学、心理学、遺伝学、児童精神医学による統合研究
Project/Area Number |
17390183
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 節子 名古屋大学, 医学部, 教授 (80111847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 篤子 名古屋大学, 教育学研究科, 教授 (80262822)
村瀬 聡美 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助教授 (30335020)
尾崎 紀夫 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40281480)
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Keywords | 産後うつ病 / マタニティ・ブルーズ / 児への愛着障害 / 親子関係 / 心理社会的要因 / 遺伝学 / 血液中うつ状態関連物質 |
Research Abstract |
1)178名の妊娠期から産褥機女性の縦断的調査を施行した。 うつ状態のある女性は53例(29.8%)存在し、産後にマタニティ・ブルーズ症状を呈した女性は37例(20.8%)、児への否定的感情の高い群は38例(21.3%)存在した。 2)うつ状態およびマタニティ・ブルーズ状態を示した女性は、妊娠期から産褥期に於いて一貫して抑うつ状態を呈した(有意差P<0.01)。抑うつ状態とマタニティ・ブルーズとの深い関連性があることからも産褥期うつ病は、産褥早期または、妊娠期末期からその発症の予知が可能であるといえる。 3)周産期に抑うつ状態にある女性は、産後1ヶ月時の児への否定的感情が高く、産後1ヶ月の児への否定的感情が高い女性は、産褥期のみならず、妊娠期にすでに抑うつ状態を示していた。これにより、抑うつ状態にある女性を妊娠期から支援することによって、育児環境の悪化を予防できる可能性が示された。 4)出産後に予期される過程での役割遂行が、仕事での達成を阻害する葛藤(家庭-仕事コンフリクト)により、抑うつ状態をきたす要因となることが明らかとなった。周産期女性の支援策の一つとして位置づけたい。 5)健常家族における親子関係の分析から、両親の承認(子どもからの働きかけに対する応答行為)が少ない2歳児の子どもには、問題行動が多く観られた。抑うつ的な母親は、子どもからの働きかけを承認しにくいことが、判明していることから、母親の抑うつ状態は育児環境の悪化に繋がることが推察できる。 6)継続的に、妊娠末期、産褥早期、産褥1ヶ月に採取した血液60人分(180検体)を、分析中である。来年度は、これら測定結果と周産期の気分状態との関連性を解析する。 7)遺伝子解析用のDNA検体収集は200検体に達した。十分な数とはいえないが、来年度から本格的に解析に入る。
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Research Products
(7 results)