2007 Fiscal Year Annual Research Report
和漢薬をプローブとした生体内機能分子の同定と生理機能・病態変化の解析
Project/Area Number |
17390209
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
東田 道久 University of Toyama, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (20207525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 欣三 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (10114654)
小松 かつ子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (50225570)
田中 謙 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (60418689)
東田 千尋 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (10272931)
小尾 龍右 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (60401816)
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Keywords | 和漢処方 / 釣藤散 / 補中益気湯 / 記憶学習 / うつ病 / M-CSF / BNIP-3 / 両方向性調節 |
Research Abstract |
和漢薬をプローブとして用い、動物および培養細胞に適応することにより、その和漢薬がターゲットとする機能分子を解明し、ひいては病態の新たなメカニズムの提唱・解明につなげることを目指して、本研究を行った。本年は、1)釣藤散によるマクロファージ・コロニー刺激因子(M-CSF)の発現制御とその機序 、および2)補中益気湯による遺伝子発現に関する研究を行い、以下に示す知見を得た。1)認知症モデル動物を用いたマイクロアレイの結果をうけた詳細な検討より、釣藤散はM-CSF mRNA発現を促進性と抑制性の両方向性に制御する可能性を見出した。そこで、培養C6グリオーマ細胞を用いてその機序を詳細 に検討した。前年までに、プロテインキナーゼC(PKC)系が促進性作用に関与することを明らかにするとともに、cAMP系の抑制性作用への関与の可能性も示していた。本年の検討より、釣藤散は細胞内cAMP濃度を上昇させること、その機序としてホスホジエステラーゼ阻害が考えられることを新たに見出 した。またその効果はC6細胞がおかれている細胞周期とも関連する可能性をも新たに見出し、 M-CSF の遺伝子発現制御領域を用いたレポーターアッセイをタイムラプス・リアルタイム細胞解析システムにより現在も進めている。以上より、釣藤散は脳内あるいは細胞の状況にあわせてM-CSF mRNA発現をタイミングよく調節し、より有効な薬理作用を構築しているものと考えられた。2)培養神経株化細胞を用いて、補中益気湯により発現変化する遺伝子をDNAアレイ解析した結果を受け、詳細な検討を行った。その結果、BNIP-3が著明な発現上昇を示すこと、その作用は他の抗うつ薬でも生ずることを見出した。BNIP・3は抗うつ効果発現の新たな標的内因性因子と成り得る可能性があり、引き続きさらに詳細な検討を加えている。
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Research Products
(5 results)