2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ菌cagA遺伝子導入マウスにおける消化管病変進展の分子機構
Project/Area Number |
17390211
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
畠山 昌則 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40189551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 健 神戸大学, 医学部, 教授 (60221040)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / CagA / トランスジェニックマウス / 欧米型CagA / 東アジア型CagA / 胃粘膜病変 / チロシンリン酸化 / EPIYA |
Research Abstract |
樹立した東アジア型ヘリコバクター・ピロリcagAトランスジェニックマウスにおいて、生後12週ごろより胃粘膜肥厚ならびに胃上皮細胞の過剰増殖が確認された。この変化は全身性にCagAを発現するトランスジェニックマウスにおいても確認され、CagAの生物活性が胃粘膜上皮に対して強い特異性を示すことが明らかとなった。これは、CagAをチロシンリン酸化するSrcファミリーキナーゼの胃上皮細胞における活性化レベルの高さと関連があると推察される。現在、胃上皮細胞の過剰増殖を示す胃粘膜からdysplasiaさらには胃癌が出現するか否かを検索中である。加えて、CagAを全身性に発現するトランスジェニックマウスにおける消化管以外の病変発症の有無を検索中である。 トランスジェニックマウスに認められた胃粘膜に対するCagAの効果が、CagAのチロシンリン酸化に依存した現象か否かを明らかにするため、リン酸化チロシン残基をすべてフェニルアラニンに置換した変異CagAをコードするcagA遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの作製、系統樹立に成功した。また、CagAが示す分子多型と病変との関連を明らかにするため、既に樹立している東アジア型cagAトランスジェニックマウスに加え、欧米型cagA(cagA-ACCC)トランスジェニックマウスの作製に成功した。現在、これらマウスにおける胃粘膜病変の検索を進めている。 臨床単離された東アジア型ピロリ菌cagA遺伝子の解析から、一般に分子多型が少ないと考えられる東アジア型CagAにおいてもEPIYA繰り返し領域内に複雑な重複・欠失が存在することが明らかとなった。これら東アジアCagA分子多型の機能解析から、SHP-2の結合能はEPIYA-Dサイトの数に依存する一方、Csk結合活性はEPIYA-AないしEPIYA-Bサイトの数に依存することが明らかとなった
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Research Products
(16 results)