2005 Fiscal Year Annual Research Report
重症肝不全克服のための肝幹細胞を用いた再生医療の開発
Project/Area Number |
17390214
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
河田 純男 山形大学, 医学部, 教授 (90183285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨樫 整 山形大学, 医学部, 助教授 (60192209)
斉藤 貴史 山形大学, 医学部, 講師 (80250918)
斉藤 孝治 山形大学, 医学部, 講師 (90250919)
伊藤 純一 山形大学, 医学部, 助手 (90344788)
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Keywords | 肝不全 / 肝幹細胞 / 肝再生 / 造血幹細胞増殖因子 / SCF / TPO / 劇症肝炎 / musashi-1 |
Research Abstract |
劇症肝炎や進行した肝硬変に伴う急性および慢性肝不全は予後は極めて悪い。これまでに種々の内科的な治療が試みられているが、十分な効果を挙げるところまでは至っていない。また、肝移植は慢性的なドナー不足および医療経済的側面から広く施行することができないのが現状である。従って、重症肝不全を克服するために、新規な発想を基盤とした抜本的かつ戦略的な治療法の開発が急務である。 われわれは造血幹細胞増殖因子であるSCF(stem cell factor)およびTPO (thrombopoietin)が肝幹細胞およびoval cell lineのMsi-1(musashi-1)発現を維持し、in vitroおよびin vivoにおいて細胞増殖を誘導かつ継続することを見出している。 平成17年度においては、急性肝炎および劇症肝炎患者における血中SCFおよびTPO濃度の変動を検討した。その結果、急性肝炎では健常対照に比較して増加していたが、劇症肝炎ではSCFおよびTPOは有意に低下していた。特記すべきは、生存例と死亡例を比較すると、死亡例で血中SCFおよびTPO濃度が有意に減少していることである。このことは,これらの造血幹細胞増殖因子が広範な肝壊死の際に肝幹細胞の増殖あるいは分化に密接にかかわっており、死亡例ではSCFやTPOの分泌が十分に起こらないために再生が不十分であることが推測される。今後はこのような状況ではなぜSCFやTPO分泌障害が起こるのかを検討する予定である このように、われわれは肝幹細胞の分化および増殖の分子機構を明らかにするために、in vivoおよびin vitroで肝幹細胞の分化および増殖を制御できるようにすることを目指している。具体的には、Msi-1をマーカーとして文字通りの肝幹細胞の単離を実現させ、in vitroで増殖させ、しかるのちに肝内へ細胞移植を行い、SCFあるいはTPOでさらなる増殖を誘導した後に肝細胞へ効率的に分化させるシステムを構築する。これにより戦略的治療法を開発する。
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Research Products
(6 results)