2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトームおよびプロテオーム解析によるHGFの組織修復作用の機序解明
Project/Area Number |
17390219
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坪内 博仁 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60145480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶谷 眞 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50274816)
宇都 浩文 宮崎大学, 医学部, 講師 (20347058)
蓮池 悟 宮崎大学, 医学部, 助手 (50381067)
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Keywords | HGF / トランスクリプトーム / プロテオーム / マイクロアレイ / SELDIプロテインチップ |
Research Abstract |
難治性消化器疾患に対しては新しい組織修復療法の確立が臨まれ、HGFはその組織修復作用から、臨床応用が期待されており、遺伝子組み換えヒトHGFは既に劇症肝炎患者に対して医師主導型治験が開始されている。しかしながら、HGFの多彩な作用の分子メカニズムは十分解明されていない。本研究の目的はHGFの作用機序をDNAマイクロアレイ及び質量分析装置を用いて網羅的に解析し、その分子機構を明らかにすることである。まず、抗Fas抗体誘導急性肝不全マウスを用いて、EGFと比較することで、HGFにより特異的に発現誘導される遺伝子を網羅的に解析した。対照群と比較してHGF投与群で発現増強していたのは46プローブセットであり、その中の30プローブセットがEGF投与群でも発現増強した。また、HGFで発現増強し、かつEGFと比較して2倍以上発現増強している遺伝子群はbcl-xを含む9遺伝子(11プローブセット)であった。この結果から、HGFによって特異的に発現誘導されるbcl-xなどの遺伝子群は、急性肝不全モデルにおける生存率改善効果において責任分子として機能している可能性が示唆された。次に、ヒトから得られた初代培養肝細胞(Biopredic International社)にHGFもしくはPBSを添加し、24時間後に遺伝子発現を網羅的に比較検討した。約47000の遺伝子転写産物のうちHGF投与により遺伝子発現が亢進した遺伝子数は2倍以上188個、3倍以上23個、遺伝子発現が低下した遺伝子数は1/2以下176個、1/3以下19個であった。これらには細胞増殖関連、アポトーシス関連遺伝子など既知の遺伝子が含まれていたが、HGFとの関連性が報告されていない遺伝子の発現変化も数種類検出した。これらのことから、ヒト初代培養肝細胞を用いた解析は、ヒト以外の細胞では得られない新しい知見を見出す可能性があり、HGFをヒトへ臨床応用する上でも有用であると考えられた。今後、蛋白発現も含めた網羅的解析をさらに進める必要がある。
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Research Products
(6 results)