2007 Fiscal Year Annual Research Report
心血管病におけるミトコンドリア転写因子の役割の解明と新規治療の開発
Project/Area Number |
17390223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 聡一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40157706)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部, 教授 (70197622)
康 東天 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80214716)
市川 和洋 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (10271115)
石森 直樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (70399848)
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Keywords | ミトコンドリア / 転写因子 / 遺伝子 / ミトコンドリアDNA / 酸化ストレス / 心血管病 / 高血圧 / 心不全 |
Research Abstract |
ミトコンドリアに豊富に存在する蛋白であるミトコンドリア転写因子A (Mitochondrial Transcription Factor A:TFAM)は、その名前のとおりミトコンドリアDNAの転写を担っている。 本年度の研究により、TFAMがミトコンドリアDNAの転写ばかりでなく、ミトコンドリアDNAの維持においても不可欠であり、ミトコンドリア機能制御において極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。ミトコンドリアDNAは核DNAと異なりヒストン構造を有さず、“裸の遺伝子"としてストレスに対し脆弱であると理解されてきた。しかし、Tfamは、2つのHMG(high mobility group)boxを有するHMG蛋白であり、DNAの配列によらずDNAに結合する特性を有する。しかも、ミトコンドリアDNAあたり、約900分子のTFAMが存在する。siRNAにより、Hela細胞を用いてTfam発現を減少させると、Tfam蛋白の減少に比例してミトコンドリアDNA量も減少した。その後数日以内にTFAMは増加に転じるが、ミトコンドリアDNAもTFAMに一致して増加した。したがって、TfamはミトコンドリアDNAのプロモーター領域により強い親和性を有するが、ミトコンドリアDNAはTfamによってその全体が包まれておりTfamのHMGドメインと結合することで安定化し維持されていると考えられた。 以上よりミトコンドリアDNA維持作用を有しているTFAMの誘導によりミトコンドリアDNAを酸化傷害から保護しミトコンドリア酸化ストレスを軽減することは新たな心血管病の予防・治療法となる可能性があると考えられた。
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Research Products
(29 results)