2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン結合性増殖因子HB-EGFの心不全治療応用への基盤研究
Project/Area Number |
17390229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高島 成二 大阪大学, 保健センター, 助手 (90379272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 国立循環器病センター, 生理機能検査部, 部長 (20294069)
堀 正二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20124779)
南野 哲男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30379234)
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Keywords | 心不全 / 増殖因子 / 創薬 / 興奮収縮連関 / 強心剤 |
Research Abstract |
特発性拡張型(うっ血型)心筋症は循環器領域ではもっとも重要な疾患のひとつである。本研究では増殖因子HB-EGFの心臓に対する特異的保護作用の分子メカニズムの解明を中心に研究を開始した。ヒト拡張型心筋症と類似の表現型を示したHB-EGF遺伝子欠損マウスを利用して、あらたな心不全関連因子の同定、それを利用した治療法の確立を目的とした。 本年度は市販の降圧剤である一部のカルシウム拮抗剤がHB-EGFのプロセシングを抑制することにより心筋肥大を抑制することを示した。またHB-EGF欠損マウスを免疫することにより、あらたなモノクローナル抗体を作成し、ヒトHB-EGFの血中濃度を測定するELISAの感度を100pg/mlまで上昇させた。来年度からこのELISAを使用して心不全患者血清中のHB-EGF濃度を測定し病態との関連を解析する。 さらにHB-EGF遺伝子欠損マウスおよびヒト心不全において変化した遺伝子のなかから、心機能の悪化の程度により鋭敏に上下する新規の燐酸化酵素を同定した。この燐酸化酵素は心筋細胞のみに特異的に発現しており、興奮収縮連関にかかわる遺伝子をカルシウムカルモジュリン依存性に燐酸化する。この燐酸化によりアクトミオシンのカルシウムに対する感受性が増加し、収縮性が増加することがin vitroの一分子解析系により明らかになった。またこの燐酸化酵素およびその器質の欠損により、心筋の収縮性が極端に低下することがin vivoにおいても示された。現在この酵素の阻害剤および器質の脱燐酸化酵素の阻害剤のスクリーニングを行っており心機能調整の可能性を検討する予定である。これまでカルシウム感受性を上昇させることにより心機能をあげる強心剤は同定されておらず、新しい心不全治療薬となると期待される。
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Research Products
(3 results)