2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン結合性増殖因子HB-EGFの心不全治療応用への基盤研究
Project/Area Number |
17390229
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高島 成二 大阪大学, 保健センター, 助手 (90379272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 国立循環器病センター, 臨床研究開発部, 部長 (20294069)
堀 正二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20124779)
南野 哲男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30379234)
|
Keywords | 心不全 / 増殖因子 / 創薬 / 興奮収縮連関 / 強心剤 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
特発性拡張型(うっ血型)心筋症は循環器領域ではもっとも重要な疾患のひとつである。本研究では増殖因子HB-EGFの心臓に対する特異的保護作用の分子メカニズムの解明を中心に研究を開始した。ヒト拡張型心筋症と類似の表現型を示したHB-EGF遺伝子欠損マウスを利用して、あらたな心不全関連因子の同定を目的とした。本年はこのマウスを使用した発現遺伝子解析により得られた数個の心不全関連遺伝子の同定、生化学的、生理学的解析を引き続き行った。 本年度は昨年立ち上げたゼブラフィッシュの培養系を使用して、各種の遺伝子機能の解析を敏速化することに成功した。 特にHB-EGF遺伝子欠損マウスおよびヒト心不全において変化した遺伝子のなかから、心機能の悪化の程度により鋭敏に上下する新規の燐酸化酵素を同定した。この酵素は、ゼブラフィッシュ個体でその遺伝子を欠損させることにより、重篤な心機能の悪化をきたした。さらに、マウス心筋より新たにこの燐酸化酵素の器質を精製同定し、in vitroにおいてこの燐酸化酵素の器質であることを証明した。また、この器質をゼブラフィッシュで発現抑制すると酵素の欠損と同様の心機能の悪化をきたしたため、in vivoにおいてもこの酵素・器質のシグナルが心機能の維持に必須であることが示された。これに加えて、ラット心筋細胞培養系を用いた解析では、この酵素の欠損により、収縮蛋白の新たな構成が阻害されることが明らかになり、心筋細胞の修復過程においての重要な役割も示唆された。今後はこの酵素の心不全における役割を明らかにし、その機能促進が心機能の改善につながるかを検討する。これらの成果は現在投稿中である。 ここで確立されたアッセイ系を利用して、さらに他の候補遺伝子を含めた機能解析を行い、心不全治療薬の開発を目指している。
|
Research Products
(3 results)