2006 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血時における炎症細胞由来マーカーの遺伝子発現に関する基礎および臨床的研究
Project/Area Number |
17390232
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 久雄 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (50177135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 道博 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (30264295)
杉山 正悟 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90274711)
河野 宏明 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (10305013)
海北 幸一 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 講師 (30346978)
中山 雅文 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (30346986)
|
Keywords | 急性冠症候群 / マイクロアレイ / スカベンジャーレセプター / マクロファージ / CCR2 / MMPs / 再灌流障害 / サイトカイン |
Research Abstract |
前年度より、マイクロアレイを用い急性冠症候群発症に関与する候補遺伝子同定に着手している。急性期と慢性期の末梢血単核球を単離し、DNAチップを用いたマイクロアレイにより26,600の遺伝子発現を解析した。Gene ontology解析により急性冠症候群に関与する遺伝子群の中でSR-A(クラスAスカベンジャー受容体)に焦点を絞り検討を行ったところ、急性冠症候群の末梢血単核球中では有意に遺伝子発現が亢進していた。冠動脈アテレクトミー(DCA)組織における検討でも、ACS群では安定労作狭心症群に比し、DCA組織中のSR-A遺伝子発現が上昇していた。73例の虚血性心疾患症例(急性冠症候群と安定労作狭心症症例)の予後について検討すると、高SR-A遺伝子発現群に多くの心血管イベントの再発症が認められた。以上より、SRrA遺伝子発現は特異的に急性冠症候群で上昇しており、心血管イベント再発の予測マーカーとなりうる可能性が示された。 実験的急性心筋梗塞モデルにおける検討では、単球遊走因子の受容体であるCCR2欠損マウスを用い心筋虚血再灌流モデルを作成した。CCR2欠損マウスでは、再灌流後の梗塞組織内のマクロファージ浸潤、細胞外マトリックスの分解酵素であるMatrix Metalloproteinases(MMPs)、IL-1β、TNF-αの産生が抑制されており、梗塞形成度の軽減が認められた。虚血再灌流後の酸化ストレスの増加におけるCCR2欠損の影響を検討したところ、NADPH oxidase活性、nitrotyrosineの発現強度、inducible NOS、およびチオレドキシン1の遺伝子発現がCCR2欠損マウスにて有意に減少していた。以上より、MCP-1/CCR2経路を遮断することにより心筋虚血再灌流傷害を軽減できる可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)