2006 Fiscal Year Annual Research Report
EGF受容体活性型変異と肺胞上皮細胞生理:不死化シグナルの意義と腫瘍形成・転移
Project/Area Number |
17390240
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 彰 東北大学, 病院・助手 (70361087)
西尾 和人 国立ガンセンター, 研究所, 部長 (10208134)
兼平 雅彦 東北大学, 加齢医学研究所, 研究員 (90374941)
|
Keywords | EGF受容体 / 肺腺癌 / 細気管支上皮細胞 / 不死化 / 発癌 / がん遺伝子依存 / 分子標的薬 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
肺腺癌に有効な阻害剤gefitinib(Iressa)は、EGFR-TK活性中心の複数の特異活性型変異が真の標的である。本変異は(1)肺腺癌特異、(2)基質親和性増強(数10倍)、細胞不死化を帰結、(3)体細胞変異でかつ極東アジアに高頻度など注目される。本研究の目的は肺腺癌特異EGFR-TK活性型変異が、発生母地の細気管支上皮細胞の細胞生理特性を背景とする可能性に着目し、発癌の細胞不死化や、多発肺転移での転移生着機構を究明する点にある。 ●平成18年度はin vitro系解析のため、EGFR活性型変異L858Rをmutagenesisで作成し、VSV系GFP発現vector(筑波大学、小野寺博士供与)で、EGFR野生型、欠失型、L858R変異型、空vector対照の4系統をCOS細胞に構成し、細胞内リン酸化シグナルを解析した。その結果COS細胞(アカゲザル)では、EGF依存性に導入EGFRリン酸化(p1045、p1068)が見られた。これに対し、肺癌細胞株PC9(deleted EGFR)では、EGF非依存性に同部のリン酸化が見られ、肺癌細胞EGFRは活性型で常時シグナル伝搬の可能性等、ヒト細胞解析モデル系を検討する必要がある。 ●一方、これらEGFR変異による遺伝子発現差の解析目的で、A549、PC9、11-18(L858R変異)の3細胞株で発現microarrayを実施した。その結果、遺伝子発現差に以下の2つの傾向を見た。I)EGFR活性型変異による、遺伝子発現変化:これはA549に対して、PC9、11-18がともに発現増強するもの(ARHGAP2など)、ともに発現低下(あるいは欠失)するもの(CA12など)をみた。II)EGFRはPC9で遺伝子増幅し、A549、11-18の約10倍発現し、その影響が推測される変化:PC9に対して、A549、11-18で発現低下するもの(HMGCS1など)や発現亢進するもの(KYNUなど)をみた。これらの遺伝子発現変化は、細気管支上皮環境適合との関連が推測され、ヒト細胞系での各種EGFR遺伝子導入、上記3細胞EGFR発現抑制下の他遺伝子発現を検討する必要がある。
|
Research Products
(7 results)