2005 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答遺伝子の網羅的解析と、組織の虚血障害マーカーの確立
Project/Area Number |
17390246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90311620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 敏男 東海大学, 総合医学研究所, 教授 (10222332)
花房 規男 東京大学, 医学部附属病院, 非常勤医員
稲城 玲子 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (50232509)
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Keywords | 虚血 / 低酸素 / 腎不全 |
Research Abstract |
慢性腎虚血モデルとしてWistar ratの腎動脈狭窄モデル(Goldblattのモデルの応用)の作成に成功した。モデル誘導後3日および7日のタイムポイントにおいて、腎皮質よりRNAを抽出し、保存した上で各個体の腎臓における虚血性の変化について組織学的解析を行い、虚血状態が理想的であると考えられるもののみを以後の解析に用いた。 上記のようにして虚血が適切であると判断された固体の腎皮質のRNAについて、コントロール(sham opeおよび対側腎)と比較してAffymetrixのGeneChipによる網羅的遺伝子発現解析を行い、慢性虚血の時に変動する遺伝子群を抽出した。 コントロールに比べ2倍以上に遺伝子発現が増加している遺伝子は、3日目で78個、7日目で188個であった。これらのうち、明らかに炎症、酸化ストレス、線維化と関連しているものを除外して、虚血状態マーカーの候補遺伝子として、蛋白レベルでの測定を踏まえ、可溶型のものを6つ選定した。これらの遺伝子は、いずれにおいても上記虚血腎において発現上昇していることが、抽出したRNAに対しreal time定量PCRを行うことによって確認された。 これらの遺伝子について、我々の保持する独創的な生体内低酸素モニタートランスジェニックラット(特許出願番号2004-256245)における当該分子の発現の変化(定量PCRによる)とモニターラットのレポーター遺伝子の発現による低酸素状態の定量的評価の相関を調べたが、よい相関は確認できなかった。 これと並行して、これらの遺伝子が腎臓の培養細胞において、低酸素刺激で発現上昇を示すかどうかを、ラット近位尿細管培養細胞、腎血管培養内皮細胞、糸球体メサンギウム細胞などを低酸素インキュベーター(1%酸素濃度)にて培養した場合のmRNAの変化を定量PCR法にて比較することにより、培養細胞レベルでの確認を行った。調べたところ、実際に低酸素刺激で発現上昇するものは2つのみであり、他のものについては低酸素に伴っておきる炎症や線維化によって2次的に変化している遺伝子であると考えられた。
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Research Products
(4 results)