2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA編集酵素ADAR2遺伝子のノックアウトによるALSモデル動物の開発
Project/Area Number |
17390251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郭 伸 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (40160981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良輔 京都大学, 医学系研究科, 教授 (90216771)
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Keywords | 脳神経疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / RNA編集 / G1uR2 / ADAR2 / 動物モデル |
Research Abstract |
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)運動ニューロンでは、AMPA受容体GluR2サブユニットQ/R部位のRNA編集が低下しており、これはRNA編集酵素adenosine deaminase acting on RNA type 2(ADAR2)の活性低下によると考えられる。モデルマウスを開発する目的で、ADAR2遺伝子の活性基ドメインを2個のLoxPで挟んだ変異アリルをホモに持つADAR2^<flox/flox>マウスを作成し、運動ニューロン選択的にCre recombinaseを発現する変異マウスVAChT-Creとの交配により、ADAR2^<flox/flox>/VAChT-Creマウスを作成した。この変異マウスは、Creの発現時期以降に進行性の運動機能低下を示し、生存期間も短縮していた。Creを発現した運動ニューロン(約40%)ではADAR2遺伝子の発現が欠如し、その結果GluR2 Q/R部位のRNA編集が全く行われず、緩徐進行性の神経細胞死が生じることを、in situ hybridization、単一ニューロン組織を用いたRT-PCR、組織学的検討により確認した。この変異マウスの検討により、GluR2 Q/R部位のRNA編集は専らADAR2により行われること、ADAR2缺損が緩徐進行性の神経細胞死の直接原因になることが初めて明らかになった。ADAR2活性低下によりGluR2 Q/R部位のRNA編集異常が生じ、AMPA受容体のCa^<2+>透過性亢進を通じて緩徐進行性の神経細胞死を引き起こすと考えられる。本研究により、孤発性ALS運動ニューロンに疾患特異的に生じているGluR2 Q/R部位のRNA編集低下は、運動ニューロン死の直接原因となる分子変化であることが示され、孤発性ALSの動物モデル開発の目的を達したといえる。
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Research Products
(16 results)